空き家は何故放置される?

現在820万戸との存在するとも言われる「空き家」ですが、誰も住んでいなくともきちんと管理されたものもあれば、誰にも管理されず放置され倒壊寸前まで朽ち果ててしまっているものなど様々です。管理されているものであれば、景観を損なう事も、周りに迷惑をかける事もありませんが、問題は放置されボロボロになってしまっている空き家です。

では何故、空き家は放置されてしまうのでしょうか。

その大きな理由の一つに私は固定資産税の仕組みがあると思います。福島市で言えば、一般的な居住用(住む為)の土地建物に課税される固定資産税・都市計画税は場所によっておおよそ年間5万円〜10万円程度だと思います。しかしこの中で土地の部分については「住宅用地」としての軽減税率が適応されています。その軽減税率が最大で1/6(200㎡以内の小規模宅地)となっている為、逆に言えば建物を壊し更地にしてしまうと、固定資産税が最大で4.2倍となってしまうのです。(更地の課税標準額は70%)

これはもし土地に対し、これまで年間5万円の固定資産税を支払ってきたとするならば、30万円にもなってしまうという事です。これではよほど今後の活用に可能性のある土地でなければ、解体費用を負担してまで更地にしようとする人がいないのも当然です。また都市計画税も同じように軽減税率がありますから、固定資産税と都市計画税を合わせると5倍以上になる訳です。

このように金銭的な問題から放置されてしまう空き家がある一方、もう一つ大きな理由として考えられるのが、「処分したくとも処分できない空き家」の存在です。これは不動産特有の権利関係の複雑さの成立が影響しています。

例えば、相続時に複数の相続人(兄弟など)で一つの不動産を相続した場合、その所有権は持分で複数の相続人で持ち合う事になります。(3人の場合には1/3など)このように一つの不動産を複数で持ち合う(共有する)と、いざ処分しようとした時に、すべての共有者の合意がなければ処分する事は出来ません。相続人が兄弟であった場合、兄と弟は処分したいと思っても妹が処分したくないと言えば、処分出来ません。常に足並みを揃える必要があるのです。兄弟が遠方に住んでいる場合などには、処分する意思は一致していても、調整の大変さからなかなか手付かずになっているケースなども考えられます。

同じ様なケースで、相続が発生した時点で相続登記(所有権移転登記)を行っていなかった為に、その後の相続も発生し数名の所有者の所在が不明である、などのケースもあります。この場合には処分する事も出来ず、でも税金だけは発生するという、非常に困った事になってしまいます。

それ以外にも空き家の所有者が高齢で、認知症などを煩い成年後見人制度などを利用している場合にも、放置される傾向があります。被成年後見人となると、本人は自分の意思で不動産を処分する事(法律行為)が出来なくなります。基本的には成年後見人の判断になる訳ですが、被成年後見人が住んでいた不動産を売却する場合には、成年後見人の単独の判断では売却出来ず、家庭裁判所の許可が必要となるのです。

しかしながら、この「処分したくとも処分できない空き家」に関しては解決する事も可能です。実際に当社へご相談頂いた案件の中にも、司法書士と連携を取りながら調整を行い売却出来たケースは少なくありません。ご自身では調整が難しい事も、第三者が調整する事で思いの外スムーズに運ぶ事もあるのです。いずれもある程度の時間がかかりますが、状況を打開する為には、まずは不動産会社や司法書士事務所などへ御相談されるのが良いと思います。もし、福島市エリアで同様のお困りごとがございましたら、当社でお力になれると思いますので、お気軽に御相談ください。

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