誰も住まなくなった実家(空き家)、どうすればいい?

最近は、介護施設なども従来の老人ホームから、アパートメントの様な形態のものまで様々に登場しており、ご両親がご高齢である場合の介護方法にも少しづつ選択肢が生まれてきました。以前は在宅介護が一般的だったかと思いますが、現在は息子夫婦が離れて暮らしている事も少なくなく、そういった背景があり、福島市でも特にアパートメントタイプの介護施設は軒並み満室であると聞いています。

それに伴い、これまでご両親がお住まいであったご実家が、誰も住まない空き家になってしまってたのだけれど、どうしたら良いでしょうか、といったご相談が増えています。特に、福島市以外の遠方にお住まいの方から多く寄せられています。空き家となってしまったご実家の未来は具体的に4つあると考えます。

①空き家としてそのまま放置する。

②定期的に建物に風を入れたり、草木を刈ったりと、管理しながら空き家の状態を保つ。

③賃貸物件として貸し出す。

④売却物件として売り出す。

そのうち「①空き家としてそのまま放置する。」こちらに関しては最も避けたい未来です。が、実際にはこちらを選択する方は少なくありません。思い出が詰まったご実家を売却するのはなんだか寂しいし、まだ親が健在であるのに賃貸や売却するなんて不謹慎、でも遠方でなかなか管理する事も難しいし。。。となってしまうケースです。家は人が住まなくなると急速に劣化します。築年数の古い建物は、特に劣化スピードが速く、解体しなければ土地の価値にまで悪影響を及ぼす可能性があります。「中古住宅」としての取り扱いと、「古家付き土地」としての取り扱いでは資産価値(売却金額)に大きな差が出てしまうのです。

また、敷地内の草木も急速に伸びます。草木は虫を呼び込み、伸び好きた草木は隣地へ侵食してしまいます。長期連休で実家に戻った際に、隣地所有者からクレームを受ける事になりかねません。(実際、ご相談を頂く方が売却を決心される理由の一つです。)隣地の方とトラブルになってしまうと、いざ売却しようとなった時の境界確認などでご協力頂けず、スムーズにいかないケースがあります。境界確定が出来ない場合も上記と同じく資産価値(売却金額)に影響が出る可能性があります。

ご実家も、地域の一部と考えれば、やはり周りに迷惑をかけない状態で所有するべきであり、この未来だけは避けるべきだと思います。

 

次に「②定期的に建物に風を入れたり、草木を刈ったりと、管理しながら空き家の状態を保つ。」こちらは遠方に居ながらもきちんと管理し所有しているケースです。ご実家が空き家となった場合にこちらのケースを選ばれる方が最も多いと思います。管理の方法には、ご自身がされる方法と、管理会社に月1万円前後でお願いする方法(除草などは別途)があります。ご兄弟がいる場合には、居住地が一番近い方が管理を担当されるケースが多いのはないかと思いますが、負担が兄弟の中でも偏ってしまうために将来的な相続が発生した際に注意が必要です。

財産分与の際には、法定相続人(子供)は均等に財産を相続する権利がありますが、これまでの管理を巡って公平不公平感が出てしまう為です。相続でトラブルが起こってしまうと、その後の兄弟関係に大きな亀裂が生じてしまいます。親が亡くなり、より兄弟同士で助け合っていかなければならない時に、関係が悪くなってしまう事は非常に残念な事です。こういったケースでは、空き家となった実家を日々誰が管理するのかに合わせて、それまでに管理負担に合わせて相続割合を考える必要があります。管理者が負担と感じずに管理し所有していけるのならば、兄弟はもちろん、親族間でも「集まれる場所」があるというのは兄弟間、親族間にとってはとても良い事だと思います。

 

「③賃貸物件として貸し出す」こちらの場合は、貸し出す場合のメンテナンス費用がどの程度かかるのか、またどのぐらいの期間を想定して貸し出すのか、家賃はいくら設定できるのかが重要です。20年以上築年数の経っている家は基本的にはメンテナンスが必要になります。家の状態や大きさによってメンテナンス費用は大きく異なりますが、賃料でメンテナンス費用を回収出来る時期はいつなのか、また回収後いつまで貸し出すのか、メンテナンスは定期的に発生するとみて計画する必要があります。

また、通常に通常の賃貸契約を締結して貸し出すと、貸主からの更新拒絶は正当事由(その家に住む、など)がなければ難しいとされている為、将来的に利用する予定があれば「定期賃借契約」を選択されると良いでしょう。(一定の期間内に限った賃貸契約)

メンテナンスした上で、借主が利用する訳ですから、借主が常識的な人であれば、空き家の状態のままにするよりもはるかに建物は長持ちします。地域にとっても新しい人が居住する事で活気がでます。しかし、借主が非常識な人物であったのならば、様々なトラブルが生まれてしまいますので借主は慎重に選びたいところです。

 

最後に「④売却物件として売り出す」こちらは最もシンプルで手間のない方法です。こちらの方法を選ばれる場合、どちらかと言えばご両親様ご本人からの依頼が多いように思います。自分に万が一の事があった時に、処分や管理などの迷惑を掛けたくないと思われる様です。また、介護施設の利用にも月々利用料がかかりますから、その費用捻出という意味合いもある様です。

売却の場合には、「実家」がなくなってしまう寂しさはあるものの、将来的なご相続まで考えれば、一番合理的な方法かもしれません。ぜなら売却が出来れば管理の手間もなく、不動産と違い現金は分ける事が出来る為です。将来な相続の際にも、兄弟間の公平不公平感は生まれづらいでしょう。また、人口が減少していく事を考えると、今後特に地方都市では不動産価格はゆるやかに下落するだろうと思います。そういう意味でもメンテナンス費用をかけて賃貸に出すよりも、合理的だと言えるのです。

また地域からの目線で見ても、売却は得策に思えます。新たに買い求める方は、リフォームを行うのか、建物を解体し新築住宅を建築するのか利用方法は様々ですが、いずれにせよその場所を大切に利用するでしょう。また家を買い求める方は若い世代が多いですから、地域も活性化され循環が生まれます。

 

核家族化が進み、また福島市は地方都市ですから、今後ますますこういったご相談が増えていくでしょう。私たちはご相談頂く売主様にとって最適なご提案を心がけることはもちろんの事、同時に、地域にとっても最適なご提案が出来ればと思っています。今後深刻化するであろう空き家問題を前に、気持ち良く暮らせる地域づくりの一端を私たちの仕事は担っていると思うのです。

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