私所有の水道本管からの分岐について。

前回までは宅内に引き込まれた水道管について書きましたが、今回はその元となる本管について、特に【私所有の水道本管からの分岐について。】を書きたいと思います。

言葉だけ見ると何のことか分かりづらいと思いますが、当然の事ながら日本の上水道はダムなど貯まった水を浄水施設で濾過し、地中に埋まった上水道管を流れ、お宅の蛇口まで届いています。お宅の蛇口まで水を届ける為には届ける為の配管が必要で、その配管(水道本管)から分岐し宅内に水を引き込んでいる訳です。(すみません、とても当然の話です。)

この水道本管ですが、ほとんどの場合は水道局が埋設し所有しているものなので、水量に問題が無ければ誰でも分岐する事が出来るのですが、私道の下を通る配管の場合、稀に個人所有のままになっているケースがあります。例えば、開発行為を行った中小規模の団地などでは、その施工会社がそのまま水道本管を所有している、もしくは私道を所有する地主さんがご自身の費用負担で水道本管を埋設した場合などに見受けられます。

このように分岐したい本管(一番近い本管)が個人所有であった場合には、勝手に分岐する事は出来ず、基本的にその所有者からの承諾が必要となります。所有者は費用をかけて本管を埋設していますから、人によっては分岐を承諾してほしいならばハンコ代(数十万程度)を請求する、という人もいます。例えば中古住宅であって既に引き込みがなされていても、配管劣化により引き込み直したいという場合には同様に請求される恐れがあるのです。

またこのような個人所有の本管の場合には配管の口径にも注意が必要です。個人所有の本管は自治体所有の本管に比べ口径が小さい事が多いのですが、水道局では水量を担保する為に口径の大きさによって分岐できる配管の数を決めています。例えば土地などで新たに配管を引き込みたい場合、口径が小さく新たに取り出しが出来ないとなれば、遠くから配管を引っ張る必要があり、その工事代金は膨大なものとなります。

不動産売却において、売却した後にこのような事が判明すれば買主との間で大きなトラブルとなる可能性があります。買主との契約の際にはこれらの事も説明した上で購入して頂く事が重要なのです。

ちなみに、3回に渡りご説明した水道管のリスクですが、通常は査定の際に個別に詳しく調査を行いますので、その結果を元に対応策を売主様と検討する事になります。売却前のきちんとした調査と、しっかりした対応策さえ打っておけば後々のトラブルは十分に避けられるのです。

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