売却時の動産の取り扱いについて。

売却のご相談をお受けする際に、よく頂くご質問の一つに、「リビングの照明が壊れているですけれど、大丈夫ですか?」や「室内はクリーニングしなきゃいけないですよね?」など売出しにあたっての建物の状態に関するものがあります。

賃貸などで部屋を借りる場合は常に綺麗な状態での引き渡しですので、売却の際も綺麗にして、と思われるのかもしれませんが、売却の場合は基本的に現況での引き渡しで大丈夫です。その状態を買主様へ伝える必要がありますが、直して引き渡さなければならないといった性質のものではないのです。また、照明やカーテン、畳や襖、エアコンなどはいわゆる動産としての扱いとなりますので、不動産として責任を持つものではありません。仮に壊れていたとしても特段の責任を負う必要はないです。これは契約書でも明記される、動産の瑕疵担保免責にあたります。(ただし、壊れている事を伝える必要はあります。)買主様へは実際の内覧を頂く際にご説明し、また契約時にも重ねてご説明しますので、あくまでもそれを了承の上ご購入頂く訳です。

ですから、私はこのようなご質問をお受けした際には、「このままで良いですよ。」とお伝えします。稀に費用を掛けて直した方が、より高く売却出来る可能性(費用を掛けても得をする可能性)が高い場合にはそのようにご提案する事もありますが、照明が切れているなどの些細な事であれば、ほとんどのケースでは特段価格に影響のないものです。私たちは双方仲介ではなく売主様の見方となる売却専門企業ですから、売主様にとって最適な方法をご提案するのが仕事です。

ただ同じ動産でも処理しなければならないものもあります。それは建物内に残る残置物です。これは簡単に言えば建物に備え付けられている訳ではない家財道具や家電製品、衣料品などを指すのですが、このような物は基本的に引き渡しの時までに建物内から一切を処分しなければなりません。また可能であれば、売り出し前に処分してしまう事をお勧めしています。なぜなら残置物が買主様へ与える印象は大きいと感じる為です。

不動産は高額な商品なのにも関わらず、一般的には扉を開いた最初のフィーリング購入を決まると言われています。最初のフィーリングで前向きであれば、その後の様々な事象に対してプラスに捉えて頂けますが、逆の場合はプラスの事象もマイナスに捉えてしまうものなのです。だからこそ、第一印象を出来る限り良くする事は不動産売却の鉄則です。その上で残置物の存在は部屋を狭く見せるばかりでなく、場合によってはその建物をより古く見せてしまうリスクがあります。同じ物件でも「中古住宅」としての印象を残すか「空き家」としての印象を残すかでは売れる価格に大きな差が出ます。「本当にそんな事で変わるの?」と思われるかもしれませんが、買主様は意外な程に目に見える状態で判断するものなのです。

不動産売却を成功させる為には、動産の扱い一つを取ってもやるべき事、やらなくてよい事があります。大事なのはきちんと線引きして最適化した上で売却を始める事だと思います。

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