水道管の名義について。

昨日に続き、水道管リスクについての2回目です。今回は【水道管の名義について】を書きたいと思います。

不動産に名義人(所有者)がいる様に、水道管(宅内への引き込み管)や給水設備にも名義人がいます。この名義人は自治体の水道局に出向くと調査する事が出来ます。多くの場合は不動産の名義人がそのまま水道管や給水設備の名義人になっているのですが、何度か売買を繰り返している様な不動産の場合には少し注意が必要です。

本来、水道管や給水設備は土地の定着物と見なされる為に、土地が売買され所有権が変われば当然として上記の設備の名義人も新しい名義人へ変わるものと認識するのが不動産取引の慣習です。ただ、不動産の名義人を登記上変更しても、書類上では水道管や給水設備の名義が変更される訳ではありませんから書類の見栄え上は水道の権利が前の所有者へ残ったままのような錯覚を受けます。(通常の取引では決済時に変更届を出します。)こういった場合でも、登記上の所有者(新しい所有者)が謄本を提示すれば、水道局側では前所有者の署名・捺印を必要とせずに、水道設備の所有者変更を行う事が出来ますし、ほとんどのケースでは、そもそも書類上の所有者も水道設備に所有者がいる事を認識していません。

ただ、非常に稀にそれを認識していて、ありもしない「水道の権利」なるのもを主張してくる人がいます。(場合によっては権利金などを請求してきます。)元々の名義人から買受けたものであれば、契約前の重要事項説明書内のライフラインの説明箇所で売買対象記述がなされていますから、説明が付きますが、これが売買を2回以上繰り返していて、最初の売主の名義になっていた場合には、元々の契約内容を確認する手段が非常に限られます。

また、こういった事を主張してくる人は、自分が費用を掛けて引き込んだ為に本当に権利があると考えている昔からの地主タイプ(高齢者)か、分かっていて吹っかけてくるブローカーが主です。どちらのタイプでも話しを纒めるには非常に時間と手間がかかります。もし、ご自身の不動産を売却した後にこのような問題が出た場合、買主側へも迷惑がかかりますし、逆に買主から何らかの損害請求をされる事も考えられるでしょう。

では、このような事が起きない為にはどうすれば良いかと言いますと、もし名義人がご自身に変更されていない場合は、元々買い受けた際に仲介してくれた不動産会社へ変更の確認を取った上で、今からでもすぐに名義を変更してしまう事です。大事な事は、「元々仲介してくれた不動産会社へ変更の確認を取る」という部分です。確認を取っていれば、もし何かが起きた場合でも不動産会社が話しを止めてくれます。(悪い不動産会社でない事を前提にしています。)元々の取引の問題ですから貴方が矢面に立つ必要はありません。先にポジショニングを変えてしまう事です。

転ばぬ先の杖ではありませんが、不動産売却の際には出来る限り後に問題が起きない様にシンプルにしておく事が鉄則です。準備をしておけば、何か起きた際にも対応策にも選択肢が増えます。加えて言えば、その準備も売り出し前に完了していれば、売買中に条件が変わる事もありませんから非常に安心です。

 

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