買取と仲介の違いとそれぞれのメリット・デメリット

空き家の売却には、不動産会社に直接買取ってもらう方法(買取)と、不動産会社が購入者を探して取引の仲介に入る方法(仲介)があります。2つの方法にはそれぞれにメリット・デメリットがあります。

ここでは、具体的にどのようなケースにどちらの方法がオススメかをお伝えしています。ご参考になれば嬉しく思います。

1.  買取について

買取と仲介、どちらにもそれぞれメリットとデメリットがありますが、こちらでは買取について具体的にお伝えします。

(1)買取のメリット・デメリット

買取は「早く、確実、手間無く売却出来ますが、仲介に比べると価格は低くなる傾向がある」方法です。以下、それぞれご覧下さい。

【メリット】
・最短3日で確実に現金化出来る。(依頼をする会社よって多少異なります。)

・不動産会社が買取るため、広告宣伝の必要がなく、買主様の内覧の必要もないため、誰にも知られることなく売却が完了します。

・手続きが簡単なため、売主様の手間が軽減されます。

・不動産会社が買取るため、瑕疵担保責任などの売却後のトラブルが一切ありません。

・数十万〜100万円程度の仲介手数料がかかりません。

【デメリット】
不動産会社は転売をすることを前提に購入するため、仲介での売却に比べ、売却金額が低くなります。(一般的には仲介での売却金額の60〜80%程度と言われています。

(2)買取の流れ

当社で買取を行う場合を例にとってお伝えいたします。(それぞれの不動産会社によって多少、異なる場合があると思います。)

①売却のご相談 / 現地査定調査
インターネットやお電話から査定をご依頼下さい。1営業日以内に当社からご連絡を差し上げ、お客様のご都合に合わせ当社の宅地建物取引士が査定にお伺い致します。査定にかかる時間は概ね30〜1時間程度になります。

【ご準備頂きたいもの】
・権利証(登記識別情報)
・図面など土地や建物に関する書類等(お手元にあるもので結構です。)
・固定資産税・都市計画税の通知書
・お客様の身分証明書(運転免許書等)

買取金額・スケジュールの打ち合わせ
査定調査に基づいた買取金額をご提示致します。お客様のご希望との摺り合わせを行い、ご納得頂いた上で売主様の予定を優先し売買のスケジュールをご提案致します。仲介による売却のように買主様による引き渡しの催促などはございませんのでお客様のペースでスケジュールをお決め頂けます。

③引き渡し前準備
居住中の場合にはお引っ越しの準備をして頂きます。また所有権移転登記に伴い各種登記及び境界確定が必要な場合にはそちらの準備も行って頂きます。(※面倒な場合には当社にて各種専門家をご紹介致しますので、何なりとご相談下さいませ。)

④契約・代金授受・引き渡し
ご契約内容をご確認頂き、ご署名ご捺印の上売買契約を締結します。その後、鍵及び必要書類をお引き渡し頂き、その場で現金をお支払い致します。(※もちろん銀行振り込みも可能ですので、何なりとお申し付け下さい。)

【ご準備頂きたいもの】
・権利証(登記識別情報)
・ご実印
・印鑑証明書
・図面など土地や建物に関する書類等(お手元にあるもので結構です。)
・固定資産税・都市計画税の通知書
・お客様の身分証明書(運転免許書等)

(3)買取をおすすめするケース

買取には様々なメリットがありますが、同時に売却金額が仲介に比べると低くなるというデメリットもあります。ここでは、メリット・デメリットを踏まえ、買取をおすすめするケースをお伝え致します。

・所有者が複数人いるケース
相続などで所有者が複数人に分かれているケースでは、仲介にて売却活動を行っている内に、所有者同士で決裂し売却そのものが中止になってしまうケースが稀にあります。売却は所有者全員が同意していなければ行えませんので、売却に反対する可能性のある所有者がいる場合には、売却の意思が固まった段階で速やかに売却の手続きを取ることが出来る買取をおすすめ致します。

・当該の不動産に大きな問題があるケース
様々な理由によって当該不動産に大きな問題がある場合、解決には多額の費用や時間がかかるケースがあります。また場合によっては費用と手間をかけても問題が解決するとは限らないこともあります。そのような場合には、当該不動産を現状のまま確実に手間なく売却できる買取をおすすめ致します。不動産会社に直接売却した場合には、その後何が起きても買取を行った不動産会社側で責任を持つことが一般的です。

・所有者が高齢で、相続発生前に売却をしたい場合
所有者様がご高齢であり、節税や何らかのご理由によりご存命中の出来るだけ早いタイミングで売却を完了させたいとのご意向を頂く場合があります。そのような場合には買取がおすすめです。

・広大な土地など、一般個人を対象に売却を行うのが難しい場合
宅建業法において、宅建免許を持たない者が不動産を「反復継続して売却してはならない」との取り決めがあり、例えば広大な土地であっても一般の売主様はそれを一度に売却しなければなりません。そういった不動産は一般個人の方の需要がないため、ほとんどのケースで不動産会社が直接買取を行っています。

・大幅な節税が出来る場合
不動産の売却には譲渡所得税が課税されますが、「居住用財産の3000万円控除」や「空き家の譲渡所得3000万円控除」などの特例適用で大幅に減税出来る場合があります。それぞれの特例には期限がありますので、速やかに売却することで大幅な節税が出来るというような場合には買取がおすすめです。(仲介での売却と比べ、最終的に手元に残る金額が同等以上になる場合)

その他
・側近で現金が必要なケース

・遠方に居住しており、手間と時間を省きたいケース

・誰にも知られず売却を完了したいケース

2.  仲介について

買取と仲介、どちらにもそれぞれメリットとデメリットがありますが、こちらでは仲介について具体的にお伝えします。

(1)仲介のメリット・デメリット

仲介は「売却価格を重視する」方法です。以下、それぞれご覧下さい。

【メリット】
・一般の買主が購入するため、買取の売却に比べ売却金額が高くなる傾向がある。(全ての取引で買取よりも高額になることを保証するものではありません。)

【デメリット】
・購入希望者がいつ現れるかはわからないため、場合によっては売却が長期化することがある。

・基本的には広告宣伝や買主様の内覧が必要となるため、売却をすることが世間に認知されます。(広告宣伝を行わない売却方法もありますが、販売が長期化する恐れがあります。)

・残置処分や建物解体など売主様としての責任を果たすための手間や費用負担が発生する場合があります。

・瑕疵担保責任など売却後のトラブルが起こる可能性があります。

(2)仲介の流れ

当社で仲介での売却を行う場合を例にとってお伝えいたします。(それぞれの不動産会社によって多少、異なる場合があると思います。)

①売却のご相談 / 現地査定調査・法務調査
インターネットやお電話から査定をご依頼下さい。1営業日以内に当社からご連絡を差し上げ、お客様のご都合に合わせ当社の担当者が査定にお伺い致します。査定にかかる時間は概ね30〜1時間程度になります。
その後、当社で法務調査、役所調査を行い販売にあたってリスクと成りうる可能性と解決方法を導きだします。(不動産は何らかのリスクを抱えているケースが圧倒的に多いです。)査定価格は相場とこれらの調査を反映したものとなります。

【ご準備頂きたいもの】
・権利証(登記識別情報)
・図面など土地や建物に関する書類等(お手元にあるもので結構です。)
・固定資産税・都市計画税の通知書
・お客様の身分証明書(運転免許書等)

②売却価格の設定・媒介契約の締結
調査の上、3方向からの価格算出の上、査定価格を明記した査定書をご提示致します。その際には、調査を踏まえ確認した不動産の内容、査定価格とその根拠をご説明致します。
不動産の内容をご理解頂き、販売価格にご納得頂きましたら媒介契約を締結します。媒介契約には「専属専任媒介」・「専任媒介」・「一般媒介」と3つの方法がありますが、それぞれにメリット・デメリットがありますのでご自身に合った方法をご選択ください。(媒介契約について詳しい内容・それぞれのメリット・デメリットは「こちらの記事」をご覧ください。)

③販売(売却)活動の開始
媒介契約を締結すると販売活動を開始します。インターネットや広告チラシなどのによる購入見込み客への広告活動や、見込み客への内覧案内などを行います。
販売活動中は、特に居住中の物件の場合、売主様への多少の負担が発生します。例えば、広告を見た購入見込み客が現地を見る来ることもあるでしょうし、内覧案内の際には、購入見込み客が建物内を見てまわることになります。また内覧したからといって必ず購入するとは限りませんので、場合によっては複数回の内覧を受け入れる必要があるかもしれません。
また、中古住宅や中古マンションである場合、どのような不動産でもなんらかの不具合はあるものです。稀に非常に細かいことを気にされる購入希望者様がいらっしゃいますが、将来的なリスクを考えると、そのような方にはあまり売却しない方が良いかもしれません。
購入希望者(買主様)が見つかれば、「買付証明書」を購入希望者様から頂き、日程を調整し、ご契約への運びとなります。

④不動産売買契約の締結
ご契約は、一般的に当社(不動産会社)に、売主様・買主様双方にお集まり頂き行います。原則としてご契約には売主様、買主様は必ずご本人様がご出席頂く必要があります。
ご契約に先立ち、買主様向けに宅建取引士より不動産の詳しい内容やリスクについて「重要事項説明書」をご説明差し上げます。「重要事項説明書」の内容について買主様にご納得頂ければ、ご契約書の読み合わせに移ります。
個人間での売買の場合にはご契約書の内容が非常に重要な意味を持ちます。当社では将来的に起こりうるトラブルに対しても出来る限り売主様へ責任が及ばない様、契約内容を精査しています。ご契約が締結されると、手付金として売却代金の一部(5%〜10%程度)を買主様から売主様へお支払い頂きます。

【不動産売買契約の詳細な流れ】

【ご準備頂きたいもの】
・身分証明書
・印鑑(認め印でも可)
・印紙代

⑤引き渡し前準備
ご契約が終わると、ご契約によって取り決めた期日までに引き渡し準備を終えなくてはいけません。物件や契約内容によってどのような状態で引き渡すかは様々ですが、引き渡し期日は容易に延長出来るものではありませんから、余裕を持って準備を進めたいところです。
仲介で売却を行う場合の準備内容として、最低限行うものには以下のようなものがあります。

・中古住宅・マンションの場合
建物内外の荷物の片付け処分(建物内外を空にする必要があります。)

・土地の場合
境界が曖昧な場合の境界確定と測量図の作成

・住宅ローンを組んでいる場合
抵当権者である銀行や保証会社との事前打ち合わせ

⑥残代金授受・引き渡し
引き渡しまでの準備を終え、買主様の購入資金の目処がついた段階で再度日程を調整して「残代金の授受・お引き渡し」となります。

一般的には、買主様の資金(融資を含む)を預けている銀行に、売主様・買主様・司法書士・不動産会社が集まり、手続きを行います。原則として売主様、買主様は必ずご本人様がご出席頂く必要があります。司法書士より本人確認及び物件の確認を行い、登記書類にご署名・ご捺印を頂き、登記準備が整い次第、買主様から売主様へ残代金の支払われます。

【ご準備頂きたいもの】
・権利証(登記識別情報)
・ご実印
・印鑑証明書
・図面など土地や建物に関する書類等(お手元にあるもので結構です。)
・固定資産税・都市計画税の通知書
・お客様の身分証明書(運転免許書等)

(3)仲介をおすすめするケース

仲介には売却金額が高くなるという大きなメリットがありますが、同時に様々なデメリットもあります。ここでは、メリット・デメリットを踏まえ、仲介をおすすめするケースをお伝え致します。

・現状のままで売れやすい不動産であるケース
需要の高いエリアや形状の良い土地や、状態の良い中古住宅など、そのままの状態でも一般個人向けに十分売却できる場合には、買取に比べ高い金額で売却できる仲介での売却がおすすめです。

・当該の不動産に大きな問題がないケース
調査の上、売却にあたって大きな問題がない場合、売主様へご負担頂く手間や費用はあまりありません。また、売却後のリスク負担も格段に軽減されるため買取に比べ高い金額で売却できる仲介での売却がおすすめです。

・売却価格を重視されるケース
多少の手間と時間がかかっても、売却金額を重視される場合には、仲介での売却がおすすめです。また、住宅ローンの残債がある場合も、多くの場合仲介をおすすめしております。

まとめ

今回は買取と仲介の違いとそれぞれのメリット・デメリットをご紹介致しました。所有されている不動産の状況やご自身にあった方法で是非不動産売却を成功させて下さい。ご参考になれば嬉しく思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です