もしも実家が空き家になったら?アンケートでは41.6%が「売却する。」

増加の一途を辿る空き家の数は現在820万戸にも達し、総住宅数に占める空き家の割合は13.5%と住宅の10軒に1軒以上が空き家となっています。

少子高齢化、世帯形態の変化から空き家は今後も増え続けることが予想され、国は空き家の増加に歯止めをかけるべく、平成27年「空家対策特別措置法」を全面施行しました。空き家の問題は、大きな社会問題へ発展する寸前のところまで来ているのです。

空き家が生まれる要因は上記以外にも様々なことが考えられますが、子供と同居していない親が高齢者施設に入居してしまった、親が亡くなったなどのタイミングで空き家が生まれることが多く、思い出の詰まった実家を処分出来ないといったことも空き家が増え続ける理由のひとつとなっている様です。

では、実際に実家に居住していない子供世代は実家の存在をどのように考えているのでしょうか。今回はアットホーム株式会社が行った「もし実家が空き家になったら」という調査をもと子供世代の考えを読み解いてみたいと思います。空き家を所有者様、また将来的に実家を相続する予定の方のご参考になれば嬉しく思います。

1.「もし実家が空き家になったら」アンケート結果

(1)実家が空き家となった場合、41.6%が「売却する」

こちらのアンケートを結果を見ると、実家が空き家となった場合、「売却する。」が最も多く41.6%となっています。また、その理由として最も多いものが「将来住むことがないから」で約半数の方が選択しています。次いで「現金収入が欲しいから」「固定資産税を払いたくないから」と金銭面での意見もみられます。

(2)68.4%が人が「実家がなくなるのはさみしい」

実家がなくなるのは寂しいという人は約7割、ご自身が巣立った思い出のある実家ですから当然の結果を言えるでしょう。しかしながら、それでも41.6%の人が実家が空き家となった場合には売却する、と答えている背景には、仕事や学校など生活基盤が実家とは別の場所にあり、現実的に実家へ戻ることが難しいということが挙げられるでしょう。
 

2.実家を売却することは酷いこと?

(1)時代により常識は変わる

こちらは平成22年の福島県の世帯形態の割合の統計です。「単身世帯」「夫婦と子」「夫婦のみ」の世帯が圧倒的に多いのに対して、親と同居している夫婦世帯は足しても13%程度しかいません。一昔前、実家は長男が代々受け継ぐものとしての認識が常識であった様に思います。しかし今や、7割近くの世帯が単身世帯や核家族世帯となっているのです。

これは実家を受け継ぐことが常識だった時代から、核家族として別に生計を持つことが常識、と変化した事の表れだと思います。「夫婦と子」単位で生活を考える時代になったのだと思うのです。
そういった意味で考えると、「実家」の存在は親が済まなくなった時点である意味では役目を終えているのかもしれません。

(2)地域社会にとっての「家」

建物は適切な管理がなされなければ加速度的に老朽化し、老朽化した建物は景観や治安への悪影響を及ぼしかねません。しかしながら、管理をするにも手間と費用、毎年の税金など所有者様の負担は決して軽くはありません。適正な管理が難しい場合、地域社会のことを考えれば、やはり処分することが正しいのかもしれません。それは、処分する(売却する)ことは地域にとって新しい住み手を生み出すことでもあるからです

過去の時代、実家を処分するなんて、それこそ「酷いこと」であったのだと思います。世間体も悪いことだったでしょう。しかし、今の時代は循環させないことの方が地域にとって「酷いこと」になりうるのではないかと思います。団塊の世代からの相続、2020年以降の超高齢化社会による「家余り」の時代を見据え、今後は地域にとっての「家」という考え方も重要になってくるでしょう。
 

まとめ

思い出の詰まった実家を売却することは誰もが前向きに選択できることではありません。思い出を大切にされることはとても素敵なことだと思います。

しかしながら、今後の「家余り」の時代に突入していく時、地域にとっての「家」という考え方も重要になってくるでしょう。空き家所有者様のご参考になれば嬉しく思います。

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