ボロボロの空き家って売れますか?

最近、頂いたご相談の中に、なるほどなぁ、そう思われる方も多いのかもしれないなぁと思ったご質問があったので、今回はその事について書きたいと思います。

その質問とは「ボロボロの空き家って売れますか?」加えて「売れませんよね。。。」といったものだったのですが、現在日本の総住宅数の10%以上が空き家になっている現状を考えると、ボロボロの空き家を所有されていて、その処分に困ってはいるものの、どうしようもないと思われている方も相当数いらっしゃるのだと思うのです。私は以前、「売れない不動産は無い」という事を書いた事がありますが、ご質問にお答えするのだとすれば、その言葉通り「売れます。」という事になります。ボロボロの空き家の程度によりますが、空き家を解体するか、リフォームを施して再生させるかの方法で、当然に市場に載る物件へと変貌させる事が出来るからです。

解体やリフォームには費用がかかりますが、かけた費用以上に効果がある(売却価格を高く設定できる)と判断出来る場合にはご自身で解体やリフォームを行うのが良いと思います。しかし、それらにはある程度まとまった現金が必要な為、なかなか手出し出来ない方も少なくないでしょう。当然の事ながら時間と手間もかかります。また、費用をかけても、希望の金額で売却出来るかどうかは、未来の話なのでどうしても確約は出来ません。(もちろん、出来る限り現実的な売却価格を踏まえご提案致します。)確約が出来ない以上、売却方法としてはハイリスク・ハイリターンに属するのです。

では、そのままの状態で売却出来ないのか、といえばこれも基本的には「売れます。」というお答えになります。しかし、売却価格はボロボロの空き家の影響を受け、相場よりも低くならざるを得ません。これは、一般の購入希望者は、空き家をリフォームした姿、もしくは解体し整地された土地としての姿をイメージする事が難しい為です。加えて、例えば近隣で相場なりの価格の物件が出ていたならば、手間がかからないそちらを選ぶ、というのは初めて不動産を購入する購入者の心理を考えれば当然の選択に思えます。初めての事である場合、多くの人は成功する方法よりも失敗しない方法を選ぶものです。特に取引金額の大きい不動産売買ではその傾向は顕著であると言えるでしょう。

これを具体例に当てはめてみます。仮に解体が必要と考えられる建物と土地であった場合に土地のみ相場が1200万円であったとします。また建物の解体が150万円かかるとします。現状のままで売却する場合(建物が付いたままで売却する場合)単純計算であれば、1200万円-150万円=1050万円で売却出来るはずですが、現実には「失敗したくない」という思いを超えるお得感がなければ、購入者は動かないのです。その価格がいくらなのかは物件の現在の見栄えや雰囲気、そもそもの土地の立地や形状、環境などによって異なりますが、最悪の場合、半額程度になったり、非常に長期化するという事もあります。これはローリスク・ローリターンの方法であると言えます。(長期化する場合はそれそのものもリスクと捉える事も出来ますが。。)

この間を取る方法として、不動産業者へ現状のまま直接買取を依頼するという方法もあります。直接の買取を依頼すると、安く買い叩かれてしまうのではないかと心配される方もおられますが、私は上記の様なケースの場合には有効な手段だと考えています。というのも、不動産業者はこれまでかなりの数の不動産を見ていますし、解体の現場も、リフォームの現場も数限りなく見てきています。(不動産業者によっても異なりますが。)その為に、解体したり、リフォームを施したりした後のイメージを容易にかつ具体的に想像する事が出来ます。つまり、対象の不動産の価値を必要以上に低く見積もる事はありません。不動産業者が買取を行う場合には当然再販売を見越して購入する訳ですから、相場なりの金額で購入する事は難しいのですが、逆に言えば、半額になったりする事もありません。(会社の考え方にもよりますが。)ちなみに当社では相場の70〜80%程度を基本設定としています。また買取の場合は確実に買取ってもらえますので、長期化するといった不安もありません。

当社で実際に買取らせていただいた事案でも、諸経費や税金を引いて、最終的に売主様のお手元に残る金額が、買取の場合と相場金額での仲介の場合(売主様が解体やリフォームを行った上で希望の仲介金額で売却できた場合)とで、ほぼ変わらないといった事が何度もありました。これには、不動産業者が普段から解体業者やリフォーム会社と仕事をしている事で、その単価が一般の方が依頼されるより安く抑えられる事や、購入希望者の気に入るリフォームの勘所を理解している為のバリューアップが期待出来る事などが要因になっています。仲介での売却の場合には、金額を確約する事が出来ませんから、結果論として、買取の方が手元に残る金額が多かったという事もあり得たのではないかと思っています。

いずれにしろ、やはり「売れない不動産は無い。」(調整区域の農地は農家で無ければ購入出来ませんが。)というのは一つの真理です。むしろ問題はどのようにして売るか、その方法です。通常の中古住宅で急いでいない、という場合には問答無用で仲介での売却が良いと思います。しかし、上記の様に様々な事情を孕んでいる物件である場合には、不動産業者へ様々なシミュレーションをお願いするのが良いと思います。どんな方法にもリスクとリターンが存在し、それぞれの売主様によって最適な方法は異なります。私たちは、売主様のご事情に合わせて考えうる最適な方法をご提案し、ご依頼にお答えするのが仕事なのだと思います。

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