不動産を仲介で売却する時に知っておきたい3つの事。

「出来るだけ高く売りたい」「売却期間に余裕がある」などの場合にはご自身の所有する不動産を仲介で売却する方法が最適です。しかし、不動産会社に仲介を依頼するにしても、何も知らないままでは騙されてしまうかも、と心配される方も多いはず。

そんな方のために、不動産会社に仲介で売却を依頼する場合に、これだけは知っておくべき事をご紹介したいと思います。

1.最も重要なのは仲介を依頼する不動産会社選びです。

不動産を仲介で売却する場合、その成否は仲介を依頼する不動産会社選びにかかっていると言っても過言ではありません。

それは不動産売却には「安全に売却」する為の高度な専門知識と「早く・高く売却」する為の販売網やノウハウが必要とされる為です。そして、事実として依頼する会社によってその力には差がある為です。最適な不動産会社選びの為にご参考下さい。

(1)不動産会社にも得意分野と不得意分野があります。

不動産会社と一括りに言っても、実はその取扱業務は会社によって大きく異なります。その違いを大まかに分けると以下の様になります。

  • 分譲業者

マンションデベロッパーや大規模な土地区画分譲、一戸建て住宅分譲などを行う開発業者や建売業者。

  • 賃貸業者

アパートやマンションなどの個人向けをはじめ、店舗、事務所、倉庫など事業物件も含めた賃貸物件を扱う業者。

  • 売買業者

一般の方の所有する中古住宅やマンション、土地を扱う仲介業者。またそれらの直接買取り再販を行う業者。

  • 専門系業者

不動産投資ファンド、企画開発業者、商業施設の運営、資産活用提案(アパートの建築など)を行う業者。

これらの業者のうち、一般の売主様がご自宅や宅地売却の仲介を依頼する相手先は「売買業者」が最適です。さらに、「売買業者」の中でも会社によって得意分野が2つに分かれます。

不動産売却が得意な会社(売却依頼を受けるのが得意な会社)
不動産を適正に価格査定出来る専門知識を持ち、相場に精通した最適な売却価格をアドバイス出来る会社。不動産の価値を引き出すためのノウハウ、安全な契約を締結する為の交渉にも強みを発揮する。購入側を得意とする不動産会社い比べ、不動産知識や法律知識に高い専門性が求められる。
不動産購入が得意な会社(購入依頼を受けるのが得意な会社)
大々的な広告や、多くの営業スタッフを抱え、購入希望者を集客するのが得意な会社。住宅ローンやリフォームなど購入希望者に求められる知識に強い。たくさんの顧客に対応する為に、フットワークの軽さが求めれる。

これらを見ていくと、

「売買業者」の中でも「不動産売却が得意な会社」に依頼するのが最も賢明な選択と言えるでしょう。

また、そのような会社に依頼する場合でも、「不動産購入が得意な会社」とどのような連携を取っているかも確認すると良いでしょう。

(2)不動産売却が得意な会社とはどう出会う?

不動産売却が得意な会社に仲介を依頼したい、と思ってもその違いを一度ではっきり見分ける事は一般のお客様にはなかなか難しいものです。また、不動産売却が得意な会社と出会う為にはどうすれば良いのか、といった問題もあります。

これらの問題を解決する一助となるのが、「不動産一括査定サイト」の存在です。

不動産一括査定サイトを利用するメリットには

・少なくとも、不動産売却に力を入れている会社に依頼出来る。

・一度に無料で複数の会社に査定(相談)依頼が出来る。

・査定、相談は全て無料である。

などの点があります。無料で不動産売却に力を入れている複数の会社に査定や相談が出来る為、様々な会社の意見を聞き、どの会社が最も信頼出来るかを見分ける事ができます。

ただし、一度に複数社に依頼をする事になりますから、それだけその対応に時間が取られてしまったり、情報がオープンになってしまうデメリットもあります。

不動産一括査定サイトで代表的なサービスを3つご紹介致します。

・イエイ
・イエウール
・HOME4U

ちなみに、どちらのサイトをご利用頂いても内容にはあまり変わりはありません。ただ、依頼出来る会社の数には違いがありますので、査定や相談をしたいエリアで3社程度は依頼出来るサービスが良いと思います。

あまり対応に時間が取れない、情報をオープンにしたくない、といった場合には「福島市(地域名) 不動産売却」などと検索して、不動産会社のホームページを見比べ不動産売却に関する情報をたくさん開示している会社にご相談してみるのが良いでしょう。お客様のためになる情報を開示している、という事はそれだけ経験やノウハウを備えている可能性が高いためです。

 

(3)担当者との相性も非常に重要です。

不動産の売却には数ヶ月から長い場合で1年程度の時間を必要とします。ですから実際にご自身の不動産を任せる担当者との相性は非常に重要です。

会社として不動産売却にたくさんの経験やノウハウを有していても、実際にパートナーとなる担当者の実力が十分であるとは限りません。

不動産は高額な資産ですから、会社はもちろんの事、しっかりとある程度の経験を備え、人間的にも信頼関係を築ける担当者に依頼したいところです。

 

2.仲介を依頼する媒介契約には3つの方法があります。

媒介契約には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自身やご自身の不動産に合った方法を選びにご参考ください。

(1)一般媒介の仕組みとメリット・デメリット

一般媒介はお客様が複数の不動産業者に売却の仲介を依頼する方法です。たくさんの不動産会社に依頼する事が出来る分、不動産会社の1社あたりの責任意識は希薄になりがちです。

【メリット】
・複数の会社に依頼出来る為、直接の販売窓口が多い。
 
【デメリット】
・複数の会社に依頼する為、一社あたりの責任意識は希薄になりがち。(あまり積極的に販売活動を行わない傾向がある。)
・専任媒介や、専属専任媒介に比べ広告への掲載の優先順位が下がる
・媒介報告の義務がない為に、自分の不動産の販売状況が掴めない。
・たくさんの不動産会社と連絡を取る手間が発生する。
・たくさんの不動産会社へ情報が出回る為に、情報を管理しきれない

 

(2)専任媒介の仕組みとメリット・デメリット

専任媒介はお客様が1社だけの不動産業者に売却の仲介を依頼する方法です。ただし、ご自身で見つけた相手(買主)とは不動産会社を通さず直接契約を結ぶ事が出来ます。

【メリット】
・1社だけに依頼する為に、積極的に販売活動を行ってくれる。
・2週間に1度の報告がある為に、自分の不動産の販売状況が掴める
・近隣や親族など自分で見つけた相手(買主)とは直接契約出来る。【デメリット】
・1社だけに依頼する為、依頼する会社を間違うと販売が長期化したり、売却価格が低くなってしまう危険性がある。

 

(3)専属専任媒介の仕組みとメリット・デメリット

専任媒介はお客様が1社だけの不動産業者に売却の仲介を依頼する方法です。ご自身で見つけた相手(買主)であっても必ず不動産会社を通して契約を結ばなくてはいけません。

【メリット】
・1社だけに依頼する為に、積極的に販売活動を行ってくれる。
・1週間に1度の報告がある為に、自分の不動産の販売状況が掴める
 
【デメリット】
・1社だけに依頼する為、依頼する会社を間違うと販売が長期化したり、売却価格が低くなってしまう危険性がある。
・近隣や親族など自分で見つけた相手(買主)であっても直接の契約は直接の契約はできない。

 

(4)どの方法で媒介契約を結ぶのが良い?

不動産は高額な商品ですから、依頼する会社や担当者がいかに熱心に販売活動を行ってくれるかが販売状況に大きく影響します。そのため販売の窓口が増えるからといって安易に一般媒介を選択される事はお勧めしません

不動産会社側の本音を言えば、一般媒介で依頼された物件にはあまり力をかけません。それは頑張って販売活動をしても、他社で成約になってしまった場合にはかけた労力が水の泡となってしまう為です。

逆に専任媒介や専属専任媒介は1社のみに依頼する訳ですから、責任感の下、担当者の「本気」を引き出す一つの方法であることは確かです。ただし、依頼する会社を誤ると、情報の囲い込みなどから販売が長期化したり、販売価格が下落してしまう事もあります。

媒介方法を選ぶ際には、依頼を検討している不動産会社や担当者が信頼できるかを中心に考えると良いでしょう。
信頼出来る会社に出会えた場合には専任、専属専任で1社に任せる。そうでない場合には一般媒介で複数社に依頼するという方法です。また、一般媒介で依頼する場合にも、出来るだけ会社や担当者の「本気」を引き出せる様、丁寧な対応を心がけたいところです。

 

3.仲介を依頼した場合にかかる費用(仲介手数料)とは?

(1)仲介手数料は成約報酬です。

仲介手数料とは、媒介を依頼した不動産が成約した(売れた)時に発生する不動産会社へ支払う報酬です。

成約報酬である為、仮に途中で売却を取りやめた場合などで成約まで至らなかった場合には仲介手数料は一切支払う必要はありません。

 

(2)仲介手数料の金額や算出方法は?

不動産会社が受け取ることが出来る仲介手数料には宅建業法でその上限が決められています。簡易的な計算方法が以下の通りです。

【不動産の売買価格×3%+6万円+消費税】=仲介手数料上限額

例えば2000万円の不動産売買の仲介手数料の上限は

2000万円×3%+6万円+消費税=712,800円となります。
宅建業法での仲介手数料の取り決めは上限額となりますので、仲介手数料をそれよりも低くすることも可能です。しかしながら実際には様々なリスクのある不動産取引ですから、不動産業界の慣習として、ほとんどの不動産会社が上限額での仲介手数料にて媒介の依頼を受けています。

 

(3)片手取引・両手取引とは?

不動産業界の用語として一つの不動産取引の中で、売主もしくは買主の片方のみを担当することを「片手取引」と言い、売主、買主の両方を担当することを「両手取引」といいます。(以下、図をご参照下さい。)

仲介手数料は売主、買主それぞれより支払われるものですから、不動産会社の立場からすれば、一つの取引で売主、買主の両方を担当し、両方から仲介手数料を支払ってもらう「両手取引」は「片手取引」に比べ利益が2倍になります。

そのため、中には「両手取引」のみを狙うため、自社だけで物件情報を囲い込み、他社へ紹介しない悪徳不動産会社も存在します。

「両手取引」自体は悪いことではないのですが、物件情報が囲い込まれると、販売期間が長期化したり、販売価格が下落してしまう恐れがありますので、注意が必要です。

(4)仲介手数料はいつ支払うの?

不動産が成約した時に発生する仲介手数料は、契約締結時時に支払うケースと不動産の引き渡し完了時に支払うケース、またそれぞれの時点で50%ずつ支払うケースなどがあります。

一般的には契約締結時に50%、引き渡し完了時に50%支払うことが望ましいとされていますが、実際の取引では引き渡し完了時に一括で支払うケースが多様です。

(5)仲介手数料以外に費用はかかる?

通常の仲介業務で発生する費用は、仲介手数料に含まれています。そのため、例えばインターネットやチラシなどの広告活動にかかった費用などを売主に請求することはできません。ですから、

一般的には仲介手数料以外の費用を不動産会社へ支払うことはありません。

ただし、売主の特別な依頼に基づき発生した広告費用の「実費」については不動産会社から売主へ請求することが認められています。

また、不動産取引において各種登記や測量の必要性がある場合には、それぞれの実費費用が発生することがあります。

 

4.まとめ

不動産を仲介で売却する場合には、信頼出来る不動産会社や担当者に出会い、親密なパートナーシップを築く事が成功への近道です。不動産は縁ものとはよく言いますが、不動産会社や担当者との縁も同じなのかもしれません。

まずは一括査定サイトなどを利用し、複数の不動産会社との縁を作るところから始めましょう。きっとあなたの力になってくれる会社や担当者と出会えるはずです。

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