住宅ローンが滞った場合の住宅売却について②

前回の続きです。さて、前回は住宅ローンを滞納し競売まで流れてしまったケースをお書きましたが、そいいった最悪のケースを免れる方法として「任意売却」があります。これは簡単に言うと競売にかかる前にご本人の任意価格で住宅を売却する方法です。

この方法は競売に比べて多くの利点があります。まず、売却出来る価格が競売に比べて高い場合が多い為、残る残債(返済しなくてはいけない残債)が少なく済みます。また、任意売却を行う場合、銀行(保証会社)との交渉(同意)が必須となりますので、任意売却が行えるという事は残った残債に対しても、月々の支払いは借入人の方が現実的に支払いが可能な金額で纏まることが多いのです。ですから、その後の支払いも比較的安心出来ます。また、抵当権者(銀行)が複数になる場合、その残債はハンコ代程度(10万〜)で抹消される事も多く、人によっては数百万の残債から解放される事もあります。
プライバシーに関しても、競売の様に情報が開示される訳ではありませんので、近隣へは通常の不動産売却に映るでしょう。これらの事は心配事が重なる競売に比べ、借入人の方の精神的なプラッシャーをかなり軽減すると思います。何より一人で心配事を抱え込むよりも相談相手(不動産業者)がいるという状況は様々な事を客観的に見れるきっかけになると思います。

また、住宅の売却後、競売では無一文で放り出されるような状況も十分に考えられますが、任意売却であれば、引っ越し代程度はご準備出来ることが多く、借入人の方の次の生活に大きく影響するでしょう。当たり前ですが、借入人の方にも次の生活があります。それを始める時に手元に現金があるか、ないかは大きな差だと思います。少なくとも次の引っ越し先の敷金・礼金にはなるはずです。

これらは任意売却のメリット面ですが、ではデメリットは、というと、任意売却を行えば、保証会社のブラックリストに載りますので、その後数年の借入にはなんらかの支障が出ます。しかし、これは競売の場合でも同くブラックリストには載ります。また、競売の場合は家の内覧などはありませんが、任意売却は一般の不動産売却と同じく購入者の内覧が発生します。また、契約や決済など多少の手間(合わせて3時間程度)があります。(住宅を手放したくて売却する訳ではないので、あまり気乗りはしないと思いますが。)

さらにこれはデメリットという訳ではないのですが、任意売却では注意しなければならない事が2つあります。それは売却期間が限られているという事と、必ず成功するとは限らないという事です。
まず、売却期間についてですが、任意売却を始めても、保証会社が売却が完了するまで競売への手続きを待ってくれる訳ではありません。当然に同意進行で手続きを進めますので、競売が完了するまでの間に任意売却を完了させなくてはいけません。ですから借入人の方の初動が早ければ早いほど、余裕のある売却価格の設定が可能であり、逆に言えば初動が遅いとそもそも任意売却が出来ないという事もあります。
また任意売却は保証会社側に売却価格(借入金額よりも低い金額)を提示し、その金額で抵当権を外してもらう交渉が必要です。価格の根拠を示し、今後の支払いスケジュールを調整しながら交渉する訳ですが、保証会社側にNOと言われれば、交渉は決裂してしまいます。それなれば競売を待つ他ありません。
ですから、ある程度任意売却の経験のある不動産業者でなければ、任意売却を成功させる事は難しいでしょう。逆に経験のある不動産業者であれば、借入人の状況にもよりますが、ある程度の確率で成功へ導く事が出来ます。

このように、競売に比べ、メリットの多い任意売却ですが、やはり成功には経験のある不動産業者の力と、何より借入人の方の協力体制が不可欠です。そしてその根本にはやはり信頼関係があるのだと思います。当社は、困っている人にほど、協力の力を注ぐべきだと考えています。それは決して綺麗事などではなく、単純にお客様にとても喜んで頂けるからです。喜んで頂いて嬉しくない人はいません。そういったお喜びの声を頂く事が当社スタッフのモチベーションやスキルアップに繋がると考えているのです。また、そういったお喜びの声を一人でも多くの方から頂くことが、信頼される会社としての階段を昇っているという事なのだと考えています。

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