住宅ローンの返済が滞った場合の住宅売却について①

今回は住宅ローンが滞った場合の住宅の売却「任意売却」について書きたいと思います。
住宅ローンをお使いになり、住宅を購入する場合、多くの方が30年前後の期間での返済を選ばれます。借入期間が長ければ月々の返済額は低く設定でき、アパート家賃の支払い額程度で一戸建てを持つ事が出来る為です。しかしながら、高度経済成長期の様に年々安定して所得が上昇していく時代は過ぎ去り、現在ではなかなかベースアップしない、むしろ給料が下がる等の事も珍しくありません。それに伴い、当初の計画ではスムーズに返済が出来たはずの住宅ローンも返済が滞ってしまう、という事態に遭遇したしまう可能性があります。

こういった事が起きた場合、まずは銀行側にリスケ(条件変更)交渉を行い、月々支払える金額へ条件を変更してもらうという方法があります。(債務額へ減る訳ではないので、当然返済期間は伸びることになります。)しかしながら、リスケ交渉は現在時点で返済が滞っていない事が前提となります。(個人再生の住宅資金特別条項を利用出来る場合は遅延後も可能です。)つまり返済が遅延してしまっては銀行側も基本的には交渉に乗らないという事です。では、遅延が続くとどうなるのでしょうか。

住宅ローンを滞納して2ヶ月経過すると銀行側から「代位弁済開始の予告」通知が届きます。この書類の内容は簡単に言いますと、「このまま延滞を続けると住宅ローンの残金を一括返済してもらいます。また一括返済出来ない場合には競売によって売却します。」という事です。そしてその後も遅延が続く場合、遅延から3ヶ月〜6ヶ月で保証会社からの「代位弁済開始」の通知が届きます。これは保証会社が借入人に替わって銀行へお金を返済する、という通知で、同時に保証会社が借入人からお金を返済してもらう為に、借入人の不動産を競売にかけます、という通知でもあります。そこから6ヶ月以内には競売にかけられ、新たな購入者が決まり退去させられる、というのが最悪のシナリオです。

上記の様に競売によって強制的に売却されてしまった場合、その金額(売値)は通常相場の6〜7割程度だと言われていますので、住宅ローンの残債全てをまかなえるケースは少ない訳ですが、そのように残債が残ってしまった場合でも残債が消えて無くなる訳ではありません。つまり借入人は、住宅も失った上で残債を返済し続けなくてはいけないのです。住宅を退去させられれば、新たに賃貸する物件の家賃支払いもありますから、なかなか厳しい話です。(もちろん、引越し代が出るわけではありませんので、敷金・礼金などの準備も必要です。)また競売にかけられた時点で、その内容は裁判所やインターネットを通じて拡散されますので借入人のプライバシーを保つ事が難しくなります。その不動産を購入したいと考える者が近隣へ状況を確認しに来たり、場合によっては近隣の方へ購入してもらおうとチラシを配布したりする業者によって、ご近所の方々へは知れ渡る結果となり、借入人の方は精神的に非常につらい事態となります。お子さんがいるご家庭の場合にはさらにつらいですね。

話が戻りますが、このような最悪の事態を回避する為の方法が「任意売却」です。これは株で言うところの「損切り」の様な方法です。少し長くなりましたでの、次回に「任意売却」についての詳細を書きたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です