配偶者(妻・夫)は相続税がかからない?

相続について、意外と知られていない事の一つに「配偶者に対する相続税額の軽減」があります。これは、配偶者の老後の生活保障や、被相続人(無くなった人)の遺産維持や形成に大きく寄与していると考えられることなどを考慮して、相続税額を軽減させるという趣旨のものです。

この制度を利用すると、

・配偶者の法定相続分(1/2)

・1億6,000万円

のいずれか大きい金額までは相続税がかからない、という事です。シンプルに言えば、配偶者は1億6,000万円までの相続財産には課税されない、という事です。仮に、上限額である1億6,000万円に課税されたとすると、4,700万円の相続税を支払う必要がありますから、非常に優遇された制度です。

また、1億6,000万円以上の財産を相続する、とう方も地方都市である福島市では地価ベースが低い為に非常に稀です。そう考えれば、配偶者であればほぼ相続税が課税されないといっても過言ではありません。ただし、この税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を元に計算されるものですから、相続税の申告期限(相続を知った日の翌日から10ヶ月)までに分割がなされていない財産は軽減の対象にならない、というところに注意が必要です。

その場合には申告時に「遺産分割の見込書」を添付して、申告期限から3年以内に遺産分割が出来た場合には対象となります。また3年以内に分割出来ない場合でも、やむをえない事情として税務署長の承認を受けた場合にはさらに、やむをえない事情が解消された日の翌日から4ヶ月以内に分割されたときも対象となります。

【相続が発生】
平成28年1月1日:相続開始を知った日
平成28年1月2日:相続開始を知った日の翌日

−申告時期−

【相続税の申告期限】
平成28年11月1日:申告期限(相続を知った日の翌日から10ヶ月以内)

【申告期限から3年以内の分割期限】
平成31年10月31日:相続申告期限から3年以内

【やむをえない事情を税務署長が承認】
やむをえない事項が解消した日の翌日から4ヶ月以内に遺産を分割する

少し複雑になりましたので、まとめると以上の様になります。相続税は累進課税なので、相続財産の金額が大きくなればなるほど税率が上がります。また、相続の節税対策はすぐに行えるものもあれば、時間がかかるものもあります。対策を練っていれば安心ですが、万が一急な相続が発生した場合には、法定相続分で分ける以外にも、一時的に配偶者に相続させて、将来の子供に対する相続に備えるなどの方法もあると思います。

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