空き家となったご実家を売却する際の不動産会社選びのポイントとは?

前回、空き家となった実家を売却する為には、まずインターネットから「一括査定サイト」を利用し複数の不動産会社へ査定依頼をする、ことが賢明な方法です、とお伝え致しました。本日は、その次のステップであり、また不動産を売却する上でも最も重要な「不動産会社選び」について書きたいと思います。

一括査定サイトから複数の不動産会社へ査定を依頼すると、各社よりそれぞれリアクションがあります。特に既に売却する事は決めていて「詳細査定」を依頼される場合には依頼をかけた何社か(全ての会社である場合もあります。)が実際にご実家を訪問し、現地調査を行います。加えて、建築基準法や都市計画法による制限やライフラインなどの法務調査を行った上で、相場と照らし合わせながら、ご実家の価格を算出しご提案してくれます。

ご実家の価格をご提案される場合、その金額には各社によって多少のバラつきがあるでしょう。例えば2000万円を基準とするならば、1800万円〜2200万円(前後10%)程度のバラつきは十分に考えられる範囲です。1800万円と査定してきた会社よりも2200万円と査定してくれた会社の方が売主様にとって印象が良いのは言うまでもありません。自分の資産を高く評価されて嫌な方はいないはずです。

しかし、その価格が不動産会社の直接の買取価格でなく、不動産会社が仲介に入る形での売却価格であれば、注意が必要です。なぜなら仲介での売却価格はあくまでも「売却出来るであろう価格」だからです。売却が未来の話である以上、誰もその価格を保証する事が出来ません。つまり査定価格が2200万円であっても、実際には1800万円でなければ売れなかった、という事も十分にあり得るのです。

また本来、不動産の成約価格(売れた価格)が依頼する不動産会社によって異なるのは、おかしい話です。少し前に都心の大手不動産会社での「囲い込み」が問題となりました。これは、大手不動産会社が仲介手数料を多く得たいが為に、「自社以外の買主様に売却物件を売らない(紹介しない)」という悪しき行為です。

「囲い込み」をすると、売却の対象になる買主様が限定的になる訳ですから、売主様から預かった物件の売却期間が長期化したり、売却価格が下がってしまう可能性が高くなります。宅建業法ではこれらの行為を違法としており、仲介で預かった売却物件に関しては基本的にレインズと呼ばれる情報サイトに登録する事を義務付けています。これにより本来はどの不動産会社も等しく自社の買主へ紹介出来るのです。つまりどの会社に依頼しても、ご紹介出来る買主様の人数は変わらないはず、なのです。

では何故、不動産会社によって査定価格に「差」が生まれるのでしょうか。
これは大きく分けて3つの場合が考えられます。

・不動産会社によって想定している売却時期が異なる。
・不動産会社によって調査力が異なる。
・媒介契約(仲介契約)を取りたいが為に高い金額を算出している。

「不動産会社によって想定している売却時期が異なる。」
例えば、お客様によって「時間がかかっても良いから、出来るだけ高い価格で売却したい。」という方もいらっしゃれば、「少し安くても良いから出来るだけ早く売りたい。」という方もいらっしゃいます。不動産会社は基準となる価格から、そのご要望に合わせてギリギリの高い価格をご提示します。ですからA社が1年ぐらいで売れるだろうと提示した価格が2200万円で、B社が1ヶ月で売れるだろうと提示した価格が1800万円という事があるのです。例えば、お客様のご要望が「出来るだけ早く」という前提であれば、1800万円を提示してきたB社がお客様のご事情をきちんと理解しているという事です。

「不動産会社によって調査力が異なる。」
通常査定を行う際には価格算出をする前に不動産の調査(現地・法務)を行いますが、この調査によっては様々な売却リスクが判明する事がありますが、そのリスクを浮かび上がらせる力=調査力は残念ながら不動産会社によって差があるのが現状です。例えば、そのリスクの解決に100万円程度の工事費用がかかる場合、A社はリスクを把握していて提示した価格が1900万円(工事費用100万円を差し引いた価格)で、B社はリスクを把握していなく提示した価格が2000万円という事があるのです。この場合では提示してきた金額が低くとも、リスクを把握しているA社の方がはるかに優秀です。

「媒介契約(仲介契約)を取りたいが為に高い金額を算出している。」
これは、高い金額を提示する事でお客様に喜ばせ、とりあえず媒介契約を取ろう、値段は後で徐々に下げていけばいいと考える最悪のケースです。こういった会社は、自社都合で仕事をしていますから、上記に書いた「囲い込み」も平気で行うと思います。例えば複数社に査定依頼を行い、1社だけ異常に金額が高い場合などはこのケースが考えられますので特に注意が必要です。(そうでない場合ももちろんあります。)

 

いずれにしても、一括査定後の「不動産会社選び」は査定価格だけで決められるものではありません。むしろ、査定価格の裏付ける、お客様への理解、不動産調査力に目を向けて頂きたいと思います。提案される価格の裏にどれだけの厚みがあるのかを見極める、という事だと思います。

また、査定価格がいくらであったとしても、最終的な売出価格を決定するのは売主様ご自身なのです。だからこそ、提示された価格ではなく、その根拠に目を向けて頂ければと思います。不動産売却は売主様と不動産会社の二人三脚によって成功します。最適なパートナー選びの参考になれば幸いです。

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