不動産業とテクノロジー

インターネットテクノロジーが世の中に登場し20年、デスクトップであったPCは手の中に収まるスマートフォンへと進化し、誰もが簡単に情報を手にいれる事が出来る時代となりました。それに伴いあらゆる業種はその影響を受け、人々の利便に良いようにサービスは変化してきました。それらのサービスは挙げればキリがない程に存在し、いつのまにか社会に浸透し、自然に受け入れられています。たった20年前、笑い話でしかなかった未来が、20年後現実となって現れています。これからますますあらゆる方面のIoT化がに進み、人々の生活は加速度的に便利になっていくのだと思います。

先日、ある不動産関連上場企業社長の講演映像を見る機会がありました。そこでは不動産業の中でも主に賃貸業とテクノロジーの関連について言及していましたが、私はそこに近未来を見た様に感じました。不動産業は他業種と比べても、古い慣習が残る業界だと言われます。そういった話となると、既得権益が悪いといった話になりがちですが、私は必ずしもそうではなく、不動産業の仕事の構造や内容が現在のテクノロジーとは相容れない部分が多いからだと思います。仕事にとってテクノロジーとはつまるところ、無人化の流れだとするならば、不動産業の仕事は人の力が動かしている部分が大きいと考える為です。

私が見たその映像では、現在すでに使われ始めているスマートキーを使い扉を解錠し、グーグルグラスのようなウェアラブルデバイスを掛け部屋を見て回るといったものでした。今まで営業マンが付き添い物件を案内していた内覧方法から、消費者が自分たちだけで内覧する方法へのシフトチェンジを提示していたのです。ウェアラブルデバイス上では、3Dの家具をその空間に配置する事が出来、内装などのリフォーム完成予想図ですら、その場で3Dイメージを作成出来ます。さらに窓などの箇所、箇所に近づくと説明文が表示され、営業マンがこれまで現場で口頭説明していた事を全て文字と音声のみで対応しているのです。それらは技術的には、既に完成しているものを、組み合わせているに過ぎないらしく実用化は比較的易しいとの事でした。これらは売買に比べ説明責任の内容が限定的で、かつ比較的画一的である賃貸だから出来る事です。売買の場合には、それでは成立し得ない様々な問題が浮かんできます。例えば、現在時点でテクノロジーが最適な判断が出来るとは思えませんし、利害が絡む交渉事をAIなどが行えるとも思えません。データベースを保管している自治体との連携も必要となるでしょう。簡単な事ではありません。しかしながら、では現地案内だけならどうかと言われれば、むしろ3Dイメージを見せる事が出来るグーグルグラスの方が秀でている部分もありそうです。イメージを可視化するなどは人間には出来ない為です。

私たちは不動産売却を専門としていますので、不動産業とテクノロジーの関係でいうならば、最も遠いところに位置している様に思います。ただ、人々の生活を便利にするテクノロジーには期待したいですし、お客様の役に立つならば積極的に受け入れたいと思っています。その為には常にアンテナを張っていなければ、と思います。何かと不透明だと言われる不動産業界ですが、テクノロジーの助けも借りながら、より透明化される事によって不動産取引がより一般化していけば、不動産業者はもちろん、一般の売主様、買主様、ひいては日本の経済にとっても良い影響を与えるのだろうと思います。

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