宅建業免許のある側面。

宅地建物取引業免許についての話です。

株、証券、保険などの金融商品や現物など投資取引の対象の中で不動産だけが特殊だなと思う点があります。それはそれそのものに利用価値がある事(居住出来る、賃貸出来る)と、複数回の売買を行う場合には免許が必要な事です。

不動産以外の投資対象の場合、株のデイトレードなどが最たるものだと思いますが、特段の資格や免許を必要とせずに複数回の取引を行う事が出来ます。不動産の場合には宅建業法にて宅建業者以外のものは不特定多数に対して反復継続して土地建物の取引を行ってはならない、とされています。例えば、大きな土地をお持ちの地主さんが自分で10区画に宅地分譲して売主となり一般の方にバラバラに販売するという事は出来ない訳です。また、不動産投資にしても購入して賃貸で回すという事は出来ても、売買をその中心に置く事は出来ません。(やってる人もいるかも知れませんが、違法です。)

不動産は目に見えないリスクが隠れているケースが少なくなく、不動産の取引に慣れていない個人が不特定多数に土地などを売却してしまうと、何かリスクが露見した際に不特定多数分の大きな問題になるという事が免許を必要とする理由の一つだと思いますが、それなら不動産業者が仲介を行えばそのリスク(個人が個人に売るリスク)は無くなります。不動産業界に身を置いていながら言うのも何ですが、宅建業法は不動産業者を縛る法律でありながら同時に不動産業者を守っている法律でもある訳です。

ただ、実は裏技的にそれを躱す方法もある事はあります。売主様から何か方法は無いか、と強くご相談されれば当社でもその方法をご提案させて頂く事もありますが、それには当社と売主様の間で強固な信頼関係がなければ成り立ちません。あくまでも法律に触れる事がない様に、慎重に進める必要があるのです。

少し前にヤフーとソニー不動産が提携して、個人間売買の斡旋を行うポータルサイトを運営するとの発表がありました。ソニー不動産は仲介手数料の合理化やエージェント制度など新しい取り組みを積極的に行っている風雲児的な会社ですので、やはり来たかと思いましたが、問題は山積していてもいずれその流れが主流になるのではないかと思います。私自身も大手並みの資本力があれば今一番に参入するべき市場だと思っていたのです。

そういった流れへ移行すれば、必要とされなくなる不動産業者も数多く出てくる事でしょう。免許の名の下に法律に守られていた部分もいずれ決壊していくかも知れません。インターネットが登場してあらゆる商売形態が変化していった様に不動産業界も例外ではありません。

そういう変化の中で不動産業者として変わらず価値を提供する事ができるとしたら、その価値は信頼される人間力とプロとしての提案力だと考えています。だからこそ私たちは日々の勉強と経験を積み重ねるべきだと思うのです。

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