解体?そのまま?空き家の最適な売却方法とは?

空き家の売却を検討しているお客様からよくいただくご質問の一つに「空き家を解体するべきか否か」というものがあります。

不動産の評価上では建物は約23年で0評価になるという考え方が一般的ですが、実際の売却では必ずしもそうではありません。

ここでは売主様に最も利益を残すには空き家を売却する際に空き家を解体するべきか否か、を可能な限りケース別にご紹介しております。

ご参考になれば嬉しく思います。

1.  空き家のケース別の最適な売却方法について

(1)空き家を現状のまま売却した方が良いケース

不動産の価値評価上では建物は約25年で0評価になるという考え方が一般的ですが、実際の売却では必ずしもそうではありません。

仮に築年数が25年を経過していても建物に価格を付けることはありますし、逆に稀ですが築年数が25年未満でも解体をご提案する場合もあります。

当然ながら建物の個体差によって「建物が利用できる状態にあるか」という事が原則となります。

・40年未満で通常の管理がなされてきた空き家
築25年を経過した建物であっても通風や通水など通常の管理がなされている空き家であれば、築40年程度でも多くの場合、利用出来る状態であると判断出来ます。利用出来る建物には売買上では価値があります。逆に築50年以上経っている(1960年代)建物の場合には、利用出来る状態ではない場合が多いです。

・リフォームで再生できる程度に劣化した空き家
現在はリフォーム技術が進歩しており、ほとんど劣化はリフォームにて再生する事が出来ます。建物の劣化具合にもよりますが、水回り(バス・トイレ・キッチン・洗面)の入れ替えなどである程度再生出来る場合には現状で売却する事をお薦めします。

・新築が難しい土地の空き家(接面道路や市街化調整区域内の制限など)
現状建物が建っていても、接面道路に問題があったり、市街化調整区域内の建物であったりと法規によって建物の新築が出来ないケースがあります。このような場合では建物を解体してはいけません。(以下、「絶対に解体してはいけない空き家がある」にて詳細をお伝えしています。)

・住宅用地(新築)としての需要が低いエリアに位置する空き家
高台にある古い分譲地(団地)などで、現在はほとんど新築住宅が建築されていないエリアの場合には現状のままで売却する方法がベターであると言えます。新築住宅の建築には土地も含め3,000万円以上の費用を要しますが、新築需要が低いエリアの場合にはそういった顧客層ではなく、予算重視(例えば1000万円以内で土地建物)のお客様向けに売り出す(商品化する)方法がベターであると判断します。

 

(2)空き家を解体して売却した方が良いケース

建物があることで土地の価値を下げているケースには解体をお薦めしております。また、平成28年4月より施行された「空き家譲渡所得3,000万円控除特例」が適用され大きな節税効果を得られるケースもあります。

・建物が利用出来ない程度に劣化した状態である場合
・住宅用地(新築)としての需要が高いエリアに位置する空き家
土地として売却する場合には、一般の買主様は当然ながら更地を好みます。仮に建物解体費用が150万円であった場合、1,000万円空き家付き土地よりも1,200万円の更地に需要が集まる傾向があるのです。
これは、購入後の解体後の手間の問題だけでなく、空き家付きの状態よりも更地の方が購入検討段階で買主様が建てる新築住宅のイメージがしやすいという点に理由があると考えられます。

・建物を解体することで「空き家譲渡所得税3,000万円控除特例」が適用される場合
平成28年4月に施行された「空き家譲渡所得税3,000万円控除特例」が適用されると、譲渡所得税の大幅な節税が出来る場合があります。特例を利用した際、最終的に売主様のお手元に残る金額が多いと判断される場合には解体後更地での売却をおすすめしていおります。

(3)絶対に解体してはいけない空き家がある。

現状建物(空き家)が建っている土地であっても、ごく稀に現在の法規によって建物の新築が出来ないケースがあります。そのような場合、建物を解体してしまうと、その後は雑種地(駐車場や荷物置き場など)としてしか利用出来なくなってしまい、土地の価値は大幅に下落します。

また、市街化調整区域で再建築が出来る場合であっても、申請時に建物が現存していることが前提となります。

・接面道路等に問題があり、再建築が出来ない場合
当時は建築確認申請の許可が下りたものの、現在時点で基準を満たさない為に再建築が出来ないこのようなケースでは、どれだけ劣化している建物であっても、リフォーム(リノベーション)を行う前提で売却活動を行うべきです。
実情として、新築が出来ない理由は「自治体からの建築確認申請の許可が下りない」ため、ですので建築確認申請を伴わない規模のリフォームであれば新築同然にリフォームしても問題はありません。(現在のリフォーム技術では耐震改修も含め、新築住宅同然にほとんどの工事が可能です。)

・市街化調整区域内にある空き家
市街化調整区域内に位置する空き家の場合、その建物がどれだけ劣化している状態であったとしても解体をしてはいけません。それはもし、建物を解体してしまえば、解体後1年を経過してしまうと建物の再建築が出来なくなってしまう為です。建物が建築出来る土地と、出来ない土地では資産価値に雲泥の差があります。
市街化調整区域に建物を建築する場合、比較的通りやすいのは「再建築」であり、「再建築」とは建物が現存している状態で建築確認を行い、建物を解体して新築することなのです。これらが一連の流れである必要があります。

まとめ

今回は空き家をする場合に解体を行うべきか否かを大まかにお伝え致しましたが、実際には市場の需要と相場の動きも勘案し最適な方法をご提案しています。

また、建物を解体してしまうと価値が大幅に減少してしまうケースなどもありますので、空き家の売却を考える際には、ご自身で判断してしまうのではなく、まずは現状の状態で不動産会社に相談してみると良いでしょう。

空き家所有者様のご参考になれば嬉しく思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です