不動産会社にもタイプと得意・不得意分野がある。

空き家などの不動産を売却する場合、ご自身で買主を探す方法もありますが、個人が専門知識を必要とする売買契約を結ぶことは困難な為、ほぼ例外なく不動産会社へ依頼をすることになります。そこで重要になるのが、どの不動産会社に依頼するのかということです。

不動産会社と一括りにいっても実はその会社によって、主な取り扱い業務は異なり、それぞれ得意・不得意があります。
ここでは、不動産会社の業務の種類や、についてお伝えしています。
ご参考になれば嬉しく思います。

1.不動産会社にもタイプと得意・不得意分野がある。

(1)不動産会社のタイプ区分

売却を依頼する不動産会社は宅地建物取引業免許を受けた宅地建物取引業者であることが大前提となりますが、免許さえ受けていればどこでもよいというわけではありません。

同じ免許を受けているとはいえ、その取り扱い業務は会社によって大きく異なります。その違いを大まかに分けると次のようになります。

これらのうち住宅やマンション、住宅用地の売却を依頼するのは「売買業者」となりますが、その中でも会社により得意分野が分かれます。

【売却依頼を受けるのが得意な業者】
不動産の適正な価格を査定出来る専門知識を持ち、最適な売出価格のアドバイスを得意とする会社。不動産の価値を引き出す為の施作、安心な契約を締結する為の契約内容の交渉などにも強みを発揮する。購入側を得意とする不動産会社に比べ、不動産知識や権利関係に高い専門性を求められる。
【購入依頼者の対応を得意とする会社】
大々的な広告や、多くの営業スタッフを抱え、購入希望者を集客するのが得意な会社。住宅ローンやリフォームなど購入希望者が求める知識に強みを発揮する。たくさんの顧客を対応する為、フットワークの軽さが求められる。

上記のような不動産会社の違いを正確に見分けることは一般のお客様にはなかなか困難でしょうし、実際には「賃貸」と「売買」などいくつかの業務を兼ねている場合は少なくありません。「売買であれば、売却側も購入側も得意だ」という会社もあるでしょう。

しかしながら大切なのは「不動産会社によってメインの業務は違う」ということを意識しながらその専門性を確認することです。

(2) 売却依頼を受けるのが得意な会社に依頼する。

賃貸を得意とする会社や、購入側を得意とする会社でも、住宅やマンション、住宅用地の売買を取り扱うことに法律上、何の問題もありませんし結果的にうまくいくケースもあるでしょう。

不動産自体に何ら問題のない物件で、かつ売買契約に複雑な要素がなければ、得意でなくとも何とかなるものです。

しかしながら、土地の権利関係の問題、敷地境界の問題、地下を含めた構造物の問題、用途地域等の法規の問題、道路の問題(公道、私道や役所の台帳との相違など)、埋設管の問題、あるいは隣地とのトラブルなど不動産を売却する際のリスクを挙げていけばキリがありません。

それら何らかの問題点を事前に調べ上げ、買主との間でトラブルが生じないように売買契約をまとめる為には、専門知識とある程度の経験が必要です。

不都合があった場合にはすべて不動産会社が責任を持ってくれるのであれば良いのですが、実際にはなかなかそうもいかず、引渡しが終わったあとに買主側から契約解除を申し立てられたり、売主に対する損害賠償請求や訴訟を提訴されたりするケースもあります。
不動産の売却は、とにかく売れれば良いという訳ではないのです。

それらを踏まえると、早く、高く売却するすることはもちろんの事、安全な不動産売却を行うためには「売却依頼を受けるのが得意な会社」に依頼をするのがベターであると言えるでしょう。

(3) 大手の会社か、中小の会社か

売却を依頼するのは大手の会社が良いのか、中小の会社が良いのかというご質問を受けることがありますが、実際のところ会社規模の大小はあまり関係がありません。

人気の高いエリアなどで「売り出せばすぐに売れる」というような物件であれば、大手の会社が自社で抱えている見込み客であっという間に決まるという事もありますが、それなら中小の会社に頼んでも数日遅れるだけで結果はさほど変わらないでしょう。

宅建業法では売却を依頼された不動産会社はレインズという不動産会社間の物件情報共有システムへの登録を義務付けられていますから、物件が登録されれば本来すべての不動産会社が会社規模の大小に関係なく同じように物件を見る事が出来、自社の見込み客に紹介する事が出来るのです。(一般媒介は除く)

しかし、実際には一部の不動産会社は売主と買主の両方から手数料を得ようと固執するあまり、他社からの見込み客の紹介を意図的に断る事があります。
このようなケースでは結果として売却期間が長期化することが十分に考えられます。

つまり、売却を依頼する際には、他社からの買主の紹介を受けるのはもちろんの事、どのような販売活動をしてくれるのかという中身を確認することが重要です。

また、会社の規模が小さい、設立してからの社歴が浅い、などといっても実際の営業担当者の実力とは直接関係がありません。

まったくの素人だった人が不動産業を始めるケースも稀にありますが、多くの場合は他の不動産会社で経験を積んだものが自分で、あるいは志を同じくする仲間と独立しています。

独立の理由は様々でしょうが、不動産の仕事に誇りを持った人、不動産の仕事に自信や自負を持った人ほど独立志向が強いと言えるかもしれません。

宅建業の免許番号(免許の更新回数)が大きいほど「営業経験が長く信用できる」と解説した市販本なども見受けられますが、決してそれだけで単純に判断出来ないことも覚えておきたいところです。

まとめ

今回は不動産会社にも得意・不得意な分野があることをお伝えいたしました。こういったことは不動産業界の外側からはなかなか見えづらい部分だと思います。

一生に何度もない不動産売却ですから、ぜひ得意な会社に依頼し成功させて下さい。売主様のご参考になれば嬉しく思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です