不動産買取事例⑧相続を発生させない為の資産整理

将来的な相続時の節税の為に資産を整理する事は一般的に行われていますが、このケースではそもそも特定の人間に相続を発生させない為の資産整理として買取を行いました。

売主様はあるご事情から将来相続人となるAさんへご自身の財産を相続させたくないと思われ、所有されている売却しAさん以外に贈与させたいとの事でご相談を受けました。お話をお伺いすれば誰もが売主様のお気持ちに共感するであろう内容でした。

相続が発生すれば、仮に遺言書を残していたとしても法定相続人である限り、遺留分については相続を受ける権利があります。それは売主様(本人)がAさんへ相続させたくないと言っても、廃除や欠格のない限り民法で保護された権利なのです。

売主様はそこまでご存知であった訳ではありませんが、これまでの経緯からAさんが売主様の財産を取得する為にどのような手を打ってくるか分からないと考え、出来るだけ早くその対策を打ちたいとおっしゃっておりました。

実際に、売主様が所有されている賃貸住宅から上がる収益も弁護士を名乗る者からの書類などを揃え、Aさんの懐に入る様に工作していたのです。そして当社が売却のご相談を受けたのはまさにその賃貸住宅でした。

売主様からAさんの人柄を伺うと、一般の方に売却するにはあまりにリスクが高いと判断出来ましたし、不動産自体にも解消すべきリスクがありました。また、贈与までの流れを考えると出来る限り早く売却を済ませる必要がありました。

売主様はあまり体調が良くありませんでした。売主様に万が一の事があった場合、売却後仮に贈与を行ったとしても相続が発生する1年前以内であれば特別受益として遺留分の対象となってしまうのです。ご説明を差し上げると、売主様はとにかく早く買い取って欲しいとおっしゃいました。

しかしながら当社としても、人が絡むリスクを含んだ不動産ですから慎重にならざるを得ません。売主様から2日だけお時間を頂き、法律家などとも相談をしながら起こりうるリスクと対処法を考え抜きました。その結果、そのリスクは当社で背負えると判断し、買取を行わせて頂く事にしました。

売主様は非常に喜ばれながらも「本当に大丈夫ですか?ご迷惑をお掛けしませんか?」とご心配下さいましたが、「引き受けた以上は、その後起こる事は全て当社の責任です。」とお答えするととてもご安心頂けた様でした。

全ての取引はスピーディに進み、その後Aさんや賃借人の方とも度重なる打ち合わせを行い、現在も当社の賃貸住宅として管理しております。

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