相続不動産の売却を成功に導く不動産会社とは?

以前に、「空き家の売却を成功に導く不動産会社とは?」という記事の中で、不動産会社にも得意・不得意な業務がある為、選ぶべきは「不動産売買の売却依頼を受けるのが得意な会社」である事をお伝え致しました。これは相続不動産の売却でも同様の事が言えます。

では、「不動産売買の売却依頼を受けるのが得意な会社」は他の不動産会社と比べて何が強みなのでしょうか。私の思うところでご説明したいと思います。

不動産売買、特に売却で最も重要なのは売却前の不動産調査です。対象となる不動産がどのような不動産なのか、その不動産が持つリスクを炙り出す事が調査を行う理由です。その為には現地でしか調査できない事、法務局や、役所でしか調査できない事、そしてそれらを照らし合わせて総合的な判断をする事が必要となります。リスクは売却価格に直結しますし、その処理の仕方も価格に影響します。また、処理の仕方を間違うと、様々な争いごとに発展してしまう恐れがあるのです。

完全な分譲地でもなければ、(特に相続空き家などは)1つ2つなんらかのリスクを孕んでいるものですが、ほとんどのリスクには対応策があります。それをどこまでの状態にして商品として売り出しを行うか、これは一般の方では判断が付きづらいところです。何故なら対応策は様々あり、例えば費用をかけずにある程度のリスクを排除する方法もあれば、費用を負担し完全にリスクを排除する方法もあります。不動産の売却を得意としている会社は、それらをこれまでの判例やリスクの種類、将来的な見通し、近隣関係、など様々な要因から判断して売主様へどこまで行うべきかをご提案しているのです。

「出来る限り売主様へ金銭負担のないように、しかし排除するべきリスクは徹底的に」が調査と対応策のバランスです。こういった判断のベースにはやはり経験の積み重ねが大きい為、例えば賃貸を中心としている不動産会社には難しいものではないかと思います。

また、売却価格のご提案についても、やはり経験に基づく肌感覚は重要です。一般に不動産を査定する場合、取引事例法、減価償却法、収益還元法などを用いて算出される訳ですが、ご実家などの一般的な土地建物を売却する場合、その価格の按分は土地に大きく振られる事になります。(建物の減価償却が進んでいる為。)土地の場合、取引事例法、つまり近隣の成約事例ベースにして算出するのですが、成約事例とは常に過去の相場の取引金額です。算出の根拠として、当然に参考にするべき指標ではあっても、場合によっては現在時点の相場とは多少なりとも乖離する事があるのです。その乖離を埋めるのは、相場感に基づいた肌感覚しかありません。これも一朝一夕でお答え出来るものではなく、ある程度の期間、相場を見続けてきた不動産会社でなければ難しいと思います。

稀に、高額な査定価格を算出する事でお客様を喜ばせ、媒介契約を取ろうとする不動産会社があると聞きます。その金額で売れれば、それに越した事はありませんが、(本当に稀に売れてしまう事があるのは不動産売却の奥深いところです。)結果的に査定額では売れず、売却期間が長期化する事で本来の相場でも売れずに残ってしまうといったケースがあります。相場に詳しくない会社ほど、相場における金額の意味を理解しておらず、目の前の媒介契約を取ろうとそういったご提示をしてしまうのだと思います。

不動産売却の依頼を受ける側としては、売主様の為に、もちろん出来るだけ高く売却したいと考えます。しかし、不動産売却は物件を引渡し、実際に現金が売主様のお手元に入ってくるところで一段落、さらには将来的なトラブルを起こさないところまで出来て完了です。ですから、当たり前ですが査定価格提示の一瞬だけ売主様を喜んで頂いても意味がないのです。これは私たち自身、情に流されず常に意識していなければいけない事だと思っています。

つい先日のご契約時に売主様から、「よくそんな難しい事が分かりますね、今日は初めて知る事だらけでした。」とのお言葉を頂戴しました。優しいお人柄の売主様でしたから、きっと御褒めの言葉をいただいたのだと思います。そのお言葉に私は「ありがとうございます。でも、売主様は◯◯のお仕事をされていますが、私は売主様のお仕事の専門的な事は全く分かりません。きっとそれと同じ事だと思います。」と申し上げました。やはりどのような分野でも「餅は餅屋」という事なのだと思います。

 

今回は、不動産売買の売却依頼を受けるのが得意な会社を選ぶべき理由について書きましたが、次回は、ではそれを実際にはどう判断するのか、そのポイントについて書きたいと思います。

このような記事を書くとき、当社は不動産売却の専門会社なので、ホジショントークのように映ってしまうかもしれないな、と思うのですが、それでも不動産売却を依頼する会社を選ぶ時の判断基準としてはやはり間違ってはいないと思っています。ご参考頂ければ嬉しく思います。

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