平成26年に施工された「空き家等対策の推進に関する特別措置法」によって、今後の空き家所有者に対して非常に影響のある取り決めがなされました。それが「特定空き家等に対する措置」です。これによって、「特定空き家」に指定されてしまうと、市町村長から建物解体処分の命令や、固定資産税等の住宅用地特例からの除外(固定資産税は4.2倍になります。)など、大きく費用負担を迫られる事となります。
では、どのような空き家が「特定空き家」となるのでしょうか。
ガイドラインとしては4つあります。
①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態。
(建物が壊れ危険な状態であること)
②そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態。
(アスベスト・汚物・ごみなどによって地域住民に影響を与えている状態であること)
③適切に管理が行われていないことにより著しく景観が損なっている状態。
(外壁の落書き、窓ガラスが割れている、立木が建物を覆っている状態であること)
④その他周辺に生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態。
(空き家に不審者や動物が容易に侵入できる状態であること)
とされています。これらを見ていくと、一般的に管理されている空き家に関しては、築年数が古いなどの理由で指定される事はありませんが、逆に言えば築年数に限らずこれらに該当すれば指定される恐れがある訳です。福島市に限っていえば、現在時点ではこれらに関する条例は制定されておりません。これは空き家の現状を把握していない事が起因しているのではないかと思いますが、よって現在福島市で特定空き家に指定された建物はないのです。
しかし、「特定空き家」に指定されてもおかしくないと思われる建物は福島市内でも散見されます。これから先、これらの建物は近隣住民からの苦情によって徐々に明るみ出てくるでしょう。全国的にみれば、すでに指定され解体を余儀なくされている事案もあるのです。ちなみに除去(解体)命令を出されても応じない場合、自治体は代執行で除去する事が許されています。そしてその除去費用は「特定空き家の所有者」から徴収されるのです。そこから収益を生み出さない土地だとすれば、所有しているだけでとても大きい負担を強いられる訳です。
今後、地方都市では都市部への人口集中、世帯数・人口の減少によって相対的には不動産価格が下落すると見るのが一般的です。それに加え、国も今まで眠っていた不動産(空き家や古家付き土地)などを流通させるべく措置を取っている訳です。不動産扱う者としては需要と供給のバランスは崩れると見るべきだと思っています。(移民などの材料もありますが。)
何事も、まだ問題になっていないうちの手を打つ事が重要です。ギリギリなって困って売却しようとした時に価格がつかない相場になっていては目も当てられません。想像しうる未来ならば、事前に手は打てるのです。また今だから有効な手もあります。これらに該当する可能性がある場合、一度不動産会社へ相談にいってみる事が賢明だと思います。
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