空き家問題は近い将来、深刻な社会問題となります。

こちらのは法務省統計局からホームページより抜粋した空き家総数の年代別のグラフです。

昨今、空き家問題についてはマスメディアを始めとし、様々なところで見聞きする様になりました。なるほど、グラフで見ると右肩上がりに空き家の総数が増えていっている事が分かります。住宅の総数と、空き家の割合、パーセンテージがいずれも増えている事から、乗算的に増えている様です。しかし、日常生活の実感としてはまだ空き家問題を社会問題とまでは認識していない様に思います。

当社にも、誰も住まなくなった実家を売却したい、相続したままになっている家を売却したいというご要望はますます増えています。それもそのはず、様々な統計予測を見ていくと、今後30年で最大で40%を超える住宅が空き家となるとうものもあるのです。そうなれば、「隣の家は空き家」の状態となります。そのような未来が訪れた場合何が起こるのか、それは一言で言えば街の荒廃です。

ある案件で、当社が売主様より直接買い取った家がありました。その家は窓ガラスが割れ、建物内はゴミで溢れていました。また、敷地にはプレハブ小屋が二つ、そこからもゴミがあふれ出していました。また、汚い話ですが、浄化槽の処理もされておらず、なんとなくその臭いも漂っているのです。さらに敷地内の草木は荒れ放題、お隣の敷地へも越境している状態です。

最初に現地調査を行った時、私は隣地の所有者の方に怒られてしまいました。「草木は飛び出してくるし、そのせいで夏は蚊がすごく沢山発生するのだから、草木をなんとかしてくれ!それから臭いもすごいからきちんと処理してくれ!」との事。その時点では当社の所有ではありませんでしたから、その旨をご説明致しましたが、積年の思いがあったのでしょう、なんとか改善して欲しいとの思いがひしひしと伝わってきました。

もし、自分の家のお隣がこのような状況だとしたら、どうでしょうか。誰もが改善して欲しいと思うはずです。この案件は当社が買取った後、全て解体処分し更地にしましたので、その後、隣地所有者の方とお会いした際にはとても喜んでおられました。しかし、現在もそのような放置された空き家は存在し、それが年々増えていくのです。このような放置空き家が増えたら街が荒廃していくのは火を見るよりも明らかです

街の荒廃は犯罪率の上昇へもつながります。ある統計では空き家率が30%を超えると急速に治安が悪化するとのデータもあります。もし隣の空き家が放火にでもあったら、もし隣の空き家に不審者や犯罪者が住み付いたら、と思うと非常に怖いですね。

このように、放置してしまうと様々なトラブルを引き起こす空き家ですが、空き家が生まれるタイミングの多くは、ご両親が住んでいた実家に住み手が居なくなった時です。現在は核家族が一般的ですし、居住地が遠方であるケースも少なくありません。将来的に利用する予定はないけれど、思い出が詰まった実家を売却してしまうのは寂しいし、親族に対してもなんとなく後ろめたい、といったケースや、いざ動こうと思った時に、どうすれば売却出来るのか、その入り口である不動産業者へ訪問するのも心理的な壁は高いのだろうと思います。不動産業者としては、せめて売却したいと思った時に、気軽にご来訪頂ける環境を作っていかなくてはいけないと思っています。

このままいけば空き家の問題は近い将来深刻な社会問題へと発展するでしょう。国としても、昨今空き家を減らすべく急速な法整備を進めています。日本全体の将来を考えればやはり循環の環境整備が必須なのです。そして同時に日本人のマインドも所有から循環の方向へシフトしてくべきなのでしょう。そういった事が、人口減少を前提とした日本の今後の都市づくりへの第一歩なのではないかと思うのです。そして私たち不動産業者は国策を担うものとして、空き家を売りたいと思った時に、安心して売却する環境を、一人一人の売主様に対して整えていかなければならないと思います。

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