不動産業者が提示する不動産価格について。

不動産の売却を検討する際、売主様が最も重要視されるものの一つに「価格」があると思います。当社へ査定のご依頼を頂くお客様も、まずは「どれぐらい売れるのだろう?」というところからご相談が始まる事が非常に多い実感があります。売主様は「売却する」事が自体が目的なのではなく、例えば資産整理であったり、住み替えであったり、売却益をその後の生活に役立てるところまでいって初めてゴールですから、所有されている資産の価値(価格)を知った上で、今後の生活を計画したいと考えるのは当然の事です。

では、不動産業者はいかにして、その価格を決めているのでしょうか。
もちろん、不動産業者は感覚だけで金額査定を行っている訳ではありません。大きく3つの方法を用いて計算しているのです。

①取引事例法
実際に成約(売れた)となった事例から、売却時期、事例地、規模などの視点で可能な限り似た事例をベースに計算式に当てはめて価格を算出する方法。その際、固定資産税評価額や、路線価を参考にする場合もあります。

②減価償却法
一般に建物の価値は原価償却によって年々下がっていくと考えられていますが、それを計算式に当てはめ計算する方法。瑕疵やリフォーム履歴などがある場合、その程度によって加減算する事もあります。

③収益還元法
物件の収益性に着目して将来価値得られるであろう価値を現在価値に割引して計算する方法。オーナーチェンジ物件で利回り◯%などと表記されている場合はこの計算方法を用いているケースが多いのですが、居住用物件の場合には売却価格との乖離が出る為、あまり重要視されません。

不動産業者はこれらの方法を用いて複合的に価格を算出しています。また実際の相場は常に変動していますから、これらで査定した価格をベースに担当者の肌感をご提案に加える場合もあります。そこには担当者の力量がダイレクトに反映されるのです。そういった意味では年間の取引件数の多い不動産業者ほど、現在の相場を掴んだ感度の良い肌感、つまり力量があるとも言えるでしょう。
多くの売主様が不動産業者の提示した査定金額で売却を進める訳ですから、最終的に価格は売主様が決めると言っても、その査定力には一定の責任があると思います。

その中で、私はこの業界に入った頃から価格を算出する際に必ず心がけている事があります。それは、「売れない価格」で算出しない、という事です。売主様は基本的に少しでも高く売りたいと思っておられます。実際にお打ち合わせなどでご事情をお伺いすると、私も当然出来る限り高く売却したいと思います。しかし、それに流されてはいけないと思うのです。買取価格であれば別ですが、仲介価格の場合、査定価格はあくまでも「売れる価格」でなければならないと思うのです。期待値で膨らませた、現実には「売れない価格」を算出しても、売れなければ絵に描いた餅です。それでは売主様にご迷惑をかけるだけです。ですから当社では基本的に「3ヶ月以内で売却可能な金額」をベースとして売主様とお打ち合わせの上、売却価格(売出価格)を設定しています。

今は少なくなっていると思いますが、以前には仕事を取りたいが為に、売主様の「高く売りたい」という気持ちに付け込み、高額な査定価格を提示し仕事を受け、その後少しづつ金額を下げるという手法を使っている不動産業者もいました。長期化すればそれだけで「売れない不動産」として見なされ価値は低下してしまいます。売れるべき金額ですら売れなくなってしまう恐れもあるのです。

3ヶ月で売れる最高の金額、そのギリギリのせめぎ合いの中で売主様へ金額を提示するのは毎回自分との格闘です。それでも最終的には価格に対し自信を持って売主様へご提示出来るのは、日々の仕事の積み重ねでしかないと思います。
今年もたくさんの売主様へ「WIREDさんに頼んで良かった。」と言って頂けるように、会社一丸となって、沢山の仕事の中で感度を磨き、相場に張り付きながら努力していきたいと思います。


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