線引きと市街化調整区域の建替について。

線引きと市街化調整区域の建替についての話です。

市街化区域と市街化調整区域、市街化調整区域内に土地をお持ちの方であれば聞いた事があるフレーズだと思います。原則として建物を建築できるのは市街化区域内に限られ、市街化調整区域では何らかの許可等がなければ建物を建築する事が出来ません。したがってその境では、道路一本を挟んで土地の価値が全く異なります。

同じ土地なのに、と不公平に感じるかも知れませんが、人々が快適に生活出来る街づくり行う上ではある程人が居住出来るエリアを集中させた方が、住む方にとっても便利な事は確かです。さらにインフラ整備などを行う自治体としても、管理の予算は限られていますので、そうでなければ市民へのサービスの質に大きな開きが出てしまいます。集中する事で効率よく整備できる訳です。

また、市街化調整区域内の土地の多くは農地や山林となっていますが、日本の食料自給率を守る、といった観点もあります。建物を建築することによって農地が減れば必然的に食料自給率も下がりますから、出来る限り農地は農地であってほしい訳です。市街化調整区域内の農地は農地の種類によっては建物が建たないばかりでなく、農地以外の地目に変更する事が出来ないエリアもあります。(ちなみに市街化区域内の農地は申請のみで比較的簡単に宅地へ転用出来ます。)

しかし、最初からこの区域分けがされていた訳ではありません。ある時期までは誰もが自由に自分の土地に建物を建てていました。ある日突然に区域分けがなされ、建物を建てる事が出来なくなったのです。一般にその区域分けを「線引き」と言い、福島市でそれが最初になされたのが昭和45年10月15日です。

市街化調整区域の建替においてはこの日付が大きな意味を持ちます。これまで先祖から受け継いできた土地が、ある日突然、建物が建たなくなり、将来子供が同じ場所に建物を建てる事が出来ない、土地の価値が大幅に減少すると言われたらどうでしょうか。ふざけるな、と納得できない市民によって間違いなく社会問題になります。そこで自治体は、線引きまでに既に建物が建っていた土地に関しては例外的に建物の建替を認めました。その他にも既存宅地制度、既存の権利など経過措置を取りました。

市街化調整区域内ではこのような例外が数種類存在しています。感覚的な話でいえば線引き後に建てた住宅であったとしても、現在建物が建っていれば7割以上は建替が可能だと思います。しかしそれにもやはり市との交渉が必要になります。管理を仕事とする市としては出来るだけ例外は無くしていきたいと考えるものです。

そもそも何故調整区域で建物が建っているのか、その利用経緯はなど、まずは状況を調べるところから入りますが、自治体を騙すような形(違法性がある場合)で建築されていない限り交渉の余地はあります。また最近では居住権の観点から、仮に当時の建築に違法性がある場合でも、その後買い受けた所有者が単独で相当期間(20年)適法に使用し、かつ建物の耐用年数が経過している場合には建物建替(厳密にいえば用途変更)が可能になるといった措置もあります。(しかし最近できた措置である為、現在時点では福島市で取り上げたケースはない様です。)

土地の価値は建物が建つか、建たないかでは数百万から数千万まで雲泥の差があります。また今回は現在建物が建っている場合の触りを簡単に書きましたが、調整区域の取り決めは非常に細かい為、常にケースバイケースです。建物が建っていない場合でも建築できることもあります。市街化調整区域についてはこのブログでも少しづつ様々なケースを書いていきたいと思います。

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